2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500771
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中村 康雄 同志社大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (00323957)
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Keywords | 肩甲骨 / アーチェリー / 動作解析 |
Research Abstract |
アーチェリーのシューティング動作において,肩甲骨の使い方は非常に重要である.しかし,シューティング動作時の肩甲骨運動は十分には評価されていない.そこで本申請は,アーチェリーのシューティング動作における肩甲骨の位置と姿勢を含む肩関節の運動を無侵襲に計測することを目的とする. 平成25年度は,モーションキャプチャ・システム(Mac3D, Motion Analysis)を用いて,10名の健康な体育会アーチェリー部に所属する男子大学生のシューティング動作を計測した.この10名は,70mラウンド平均600点以下及び70mラウンド未経験者の初心者5名と,70mラウンド平均600点以上の上級者5名に分類できた.被験者の背側左右の体表には,肩甲骨の肩甲棘と内側縁,肩峰の形状を記録できるように,格子状に4行5列の合計20個の反射マーカをそれぞれ貼付した.加えて,上肢の運動を計測するために,上肢に8個の反射マーカを貼付した.結果からアンカーからリリースにおける両肩の地面に対する傾斜角度は,上級者群と初心者群において有意差が認められなかった.上級者はエイミング時に肩の傾斜を減少させながらリリース動作に移行している傾向が見られた.上級者は,アンカー・リリース間を通して個人差はあるが一定の角度で安定し,またアンカーからリリースにかけて肩の傾斜角度を減少させる特徴が見られた. 以上から,体表から肩甲骨の姿勢を完全には推定するところまで至っていないが,アーチェリー動作における上級者と初心者のフォームの特徴を明らかにした.この成果は,無侵襲にて肩甲骨を含む肩関節の動作を推定するための基礎として意義があるものと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時には,平成25年度の被検者は15名を計画していた.しかし,平成25年度は10名の計測に留まった.しかしながら,その結果から,アーチェリー動作における上級者と初心者のフォームの特徴を明らかにした.前述の結果に加えて,上級者と初心者の腰部運動を比較した結果,初心者群は比較的早い段階からリリース直前と同様のねじりに至る傾向に対し,上級者群ではそのような傾向が見られなかった.初心者はリリース時のねじれに至ってから実際にリリースするまでに時間を掛けていたといえる.これは,初心者がアンカーの後,先に的を狙う動作を終えてから,一度静止し,クリッカーを落とす動作に移り,その後にリリースしたと考えられる.これは,シューティング動作において,引き手側の動作に影響を与えると考えられる.このことから,今後は,引き手側の肩甲骨の動作をより詳細に計測する. 次に,上級者の上位2名は,MRIを用いて肩関節を計測した.ただし,肩甲骨と共に周辺筋群の形状も計測するため,造影剤を入れた反射マーカは体表面に貼付しなかった.また,被験者にできるだけ時間的な負担を与えず肩甲骨の全体像を撮影したため,撮像スライスを10mmに設定した.肩甲骨周辺の軟組織も計測するため伏臥位としたが,利用したコイルの制約から画像が粗くなっていた.以上から,計画に必要な基礎データを得ることは出来たが,より分解能の高い撮像画像を必要とすることが明らかとなったため上記の自己評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,アーチェリーの動作を計測するため,左右の肩甲骨にマーカを貼付した.平成24年度より小型のマーカを利用しため,両側の肩甲骨背面に配置した格子状のマーカを計測できた.しかしながら,分解能をより向上させるため,より小さいマーカを利用し,マーカ数を増加する必要がある.マーカ数が増加することから,測定する肩甲骨は,平成25年度の結果を受けて,引き手側のみとする.マーカが小さくなると計測が困難となることから,平成26年度は,測定場所として動作解析装置のカメラ位置を自由にレイアウトできる場所を確保する. 次に,MRIの測定においても,肩甲骨の撮像スライスを小さく,撮像枚数を増加する必要がある.そのためには測定時間を長くする必要がある.被験者への負担が増加することから,十分に説明し,同意をいただける方のみ,MRIの計測を実施する.また,計測する肩甲骨の形状は,同様に引き手側のみとする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
肩甲骨の形状計測には,数多くの反射マーカが必要となる.そのため,旅費として申請していた分を,平成25年度に必要な分の反射マーカに充てた. 肩甲骨の形状計測に,平成25年度は,直径10mm以上の反射マーカを利用していた.しかしながら,十分な分解能が得られなかったため,より小さな,直径10mm以下の反射マーカを採用する.そのため,平成26年度も,平成25年度に引き続き,当該研究費を実験において消耗される反射マーカの購入に充てる.
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