2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500773
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
久保山 直己 大阪商業大学, 総合経営学部, 准教授 (00412718)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳血液量 / NIRS |
Research Abstract |
平成24年度の研究計画は動的運動中の頭蓋血液量の変化の影響を省き局所脳組織血液量の変化を正確に測定する方法を確立することであった。 動的運動中の中枢の血液量の測定には、近赤外線酸素モニター(NIRS;Near Infrared Spectroscopy)が最も適している。これまでのNIRSを用いた研究で報告されてきた局所脳組織の血液量の中には頭蓋血液量も含まれている。これは、頭蓋血液量の変化が大きく影響した状況下で局所脳組織血液量の変化を観察してきたことを意味する。そのため、これまでの研究では実質的に脳組織血液量の変化を捉えていない可能性が高い。そこで、昨年度は右手での運動中に左右の前頭野の血液量を同時に測定し、左前頭葉の血液量から右前頭葉の血液量を減じることで運動によって生じる局所血液量の変化のみを捉え観察した。 実験は成人男性(10名)を対象にし利き手(前被験者右利き)で握力運動を行ってもらい運動中の局所脳血液量を測定した。局所血液量はNIRSで測定をした。頭蓋血液量を減じて局所脳血液量の変化を捉えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は運動中の脳血液量の正確な変化を測定する方法を確立することであった。近赤外線酸素モニター(NIRO-200)を購入することができため、予備実験を含め数回の実験を行うことができた。当初の予定より多いデータが収集できほぼ測定方法も確立できたと考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は下記のとおりである。 ①動的運動における疲労困憊時の機能的相補性の確認 いくつかの研究では、運動中にM1が低下し、安静時とほぼ同レベルに達するにも関わらず、しばらくの間、運動は継続されていることが報告されている。しかし、脳組織の活性が生じず運動を行うのは困難である。そのため、疲労時の運動継続に同側M1や他の領域が相補的に働いている可能性がある。握力運動など運動に動員される筋群が比較的限定しやすい運動様式を選択し、疲労時の局所脳血液量を測定する。②両側性握力運動を用いての疲労困憊時の機能的相補性の確認 両側性運動の場合、一方(非利き手)の出力低下に対し、対側を司るM1が機能的相補作用を見せるか否か、それにより、利き手側の運動継続時間は短縮するのかという課題が残る。その点を検証する。上記2つの研究において機能的相補性が確認できなかった場合、対象とする運動形態を変化させ、発現条件の検討を行う。③運動学習過程における機能的相補性の確認 運動学習の成立に伴い、一側性運動時の対側M1活性は抑えられる可能性が高い。そのような場合、運動学習の成立に伴い、疲労困憊時の機能的相補性の発現率が上昇する可能性がある。数ヶ月におよぶトレーニングにより、運動開始時の機能的相補性発現率が低下し、疲労困憊時の機能的相補性発現率が高まるか否かを検証する。これらのことが確認されれば、一側性運動時の運動時間延長に関するメカニズムの一部が明らかになることとなる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は数回の実験を予定している。実験を実施するために必要と思われる消耗品の購入及び被験者料等に使用したいと考える。また実験データの収集及び解析が進めば論文の作成及び投稿費用にも使用したいと考える。
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