2013 Fiscal Year Research-status Report
緊急時の効果的なリスクコミュニケーションのあり方に関する心理学的研究
Project/Area Number |
24500816
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
豊沢 純子 大阪教育大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90510024)
|
Keywords | リスクコミュニケーション / 緊急時 / 110番 |
Research Abstract |
本研究は、緊急時(110番通報時)のリスクコミュニケーションの問題点を抽出し、それを解決するとともに、効率化するための方法を明らかにすることを目的としている。平成25年度は、当初計画に従い、以下の点について実施した。 (1) 実験的検討 平成24年度に引き続き、仮想的な110番通報場面を対象とした実験を実施した。手法は昨年度と同様、大学生を対象とし、通報者役、警察官役に分かれて、携帯電話を用いて会話をしてもらった。会話内容はボイスレコーダーに記録し、分析を行った。分析に際して、昨年度は主に会話の“誤り”に注目したが、110番通報は“正確さ”だけでなく“速さ”も重要であるため、今年度は“遅延”が生じている状況にも注目した。また、研究知見の一般化可能性を検討するため、3つの大学で実験を実施した。 (2) 研究成果の発表 本研究において実施した実験の成果を、学会で発表した。発表時に会場からいただいたコメントに基づき、その後の実験計画や分析方法を見直した。平成26年度は、本年度までの成果を踏まえてさらに精緻化した実験を行うとともに、研究成果を整理し、学術誌に投稿する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画的に実験を実施し、研究成果を学会等で発表しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予定では、研究成果の一般化可能性を検討するため、様々な状況における実験を繰り返し実施する予定であったが、発話データを質的に分析することには、当初予定をはるかに上回る時間が必要であり、またこの分析を多様な角度から丁寧に行うことこそが問題の本質を捉えるうえで最も重要なことであることを、本年度の分析を通して実感した。 そのため、まずはこれまでの実験で得られたデータを徹底的に分析し、その成果を査読付きの学術誌に投稿して、分析結果の客観性を確認する。そのうえで様々にある110番通報時の問題のうち、特に本質的な問題に焦点を絞り、その問題の解決を目的とした仮説検証型の新たな実験を実施したいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は実験データの分析に大変な時間を要し、研究成果を発表する機会が一部にとどまった。そのため、論文投稿料や学会発表にかかわる旅費に次年度使用額が生じている。 上記のとおり、今年度繰り越し分に関しては、研究成果を発表するための論文投稿料および学会発表にかかわる旅費に使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)