2014 Fiscal Year Annual Research Report
サルコペニア(老化による筋肉減少)でのインスリン抵抗性と慢性炎症による制御の解析
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24500853
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小池 晃彦 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (90262906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押田 芳治 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (10169295)
葛谷 雅文 名古屋大学, 医学部, 教授 (10283441)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サルコペニア / EPA / 老化促進マウス / インスリン抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、加齢による骨格筋減少(サルコペニア)におけるインスリン抵抗性と慢性炎症の影響を、インスリン感受性をあげ慢性炎症を低下させる作用を有するω3系脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA)が、老化促進モデルマウス(SAM)の骨格筋生理や代謝に対してどのような作用を有するかを検討することで明らかにすることを目的とする。EPAの長期投与において、骨格筋量の増加が対照のマウスでは見られたが、SAMでは影響しなかった。しかしながら、筋力の改善がSAMで起こる可能性が示された。また、骨格筋量の変化に対応し、EPAにより骨格筋の筋蛋白合成シグナルが対照マウスでは増強されたが、SAMでは変化しなかった。SAMの筋蛋白合成シグナルは、正常のマウスより低下していた。一方、SAMでは蛋白合成シグナル分子であるAKTやERKでリン酸化亢進が見られたが、そのシグナルは下流へ伝達されていなかった。SAMにおけるEPAの効果をさらに検証するために、腓腹筋を切除することでおこる代償性な足底筋とひらめ筋の肥大について調べた。正常マウスでは、EPAによる肥大の増強効果が見られたが、SAMにおいてはその効果は明らかでなかった。ただし、SAMにおいても対照と同等な筋肥大はみられた。SAMは老化モデルではあるが、通常の老化とは異なるシグナル異常が起こっている可能性も示された。 SAMでの検討に加え、インスリン抵抗性と慢性炎症の影響の検討を深める目的で、それらが亢進する高果糖食、高脂肪食負荷の影響、逆に改善する運動負荷の効果を現在は検討しており、高脂肪食で代償性筋肥大が抑制され、運動で肥大を促進する効果が見られている。ただし、これらの変化が蛋白合成シグナルのみでは説明できないため、そのメカニズムについて系統的に調べていくことで、インスリン抵抗性と慢性炎症の骨格筋生理に対する影響について明らかにできると考えている。
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Research Products
(10 results)