2013 Fiscal Year Research-status Report
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24500874
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
内藤 通孝 椙山女学園大学, 生活科学部, 教授 (10198012)
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Keywords | 生活習慣病 / 食後脂質異常症 / メタボリックシンドローム / トリグリセライド / アポリポタンパク質B-48 / レムナント / ショ糖 / 果糖 |
Research Abstract |
果糖は安価で効率の良い甘味料として普及しているが、一方では、脂質異常症、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム等、健康に対する悪影響が懸念されている。現代の日常食生活では、真の空腹状態は1日のうちの2~3時間に過ぎず、1日の大半は食後の状態にあると言っても過言ではない。食後における糖・脂質代謝異常は、空腹時における値よりも心血管疾患のリスクファクターとして重要であることが明らかにされている。本研究では、特に安易に果糖含有飲料等を摂取しがちな若年女性を用いて、果糖摂取の影響を検討した。 平成24年度は、まず下痢等の腹部症状が出ない範囲で果糖の摂取量を設定した。その結果、25g(濃度10%)程度の果糖摂取は明らかな腹部症状や吸収障害を来さないことを示した。①果糖、②ブドウ糖、③果糖・ブドウ糖混合物、④ショ糖の計4回の摂取試験を行った。本試験では脂肪を摂取していないにも関わらず、血清トリグリセライド(TG)、レムナント中のTG、内因性TGリッチリポ蛋白中のTGはいずれも上昇し、とくに果糖摂取で値が高くなった。以上より、肝臓に取り込まれた果糖がTG合成、あるいは内因性リポ蛋白の合成・分泌を刺激したと考えられた。 平成25年度は、果糖、ブドウ糖、ショ糖を脂肪と同時に摂取した場合の影響を、①脂肪クリーム、②脂肪クリーム+果糖、③脂肪クリーム+ブドウ糖、④脂肪クリーム+果糖+ブドウ糖、⑤脂肪クリーム+ショ糖の試験を実施した。結果として、果糖は食後のTG上昇を増悪・遅延させ、外因性と内因性を分けて検討すると、両者ともにピーク値の上昇と遅延が認められた。さらに、果糖とブドウ糖の割合を変えて検討した結果、ブドウ糖に対する果糖の割合が高いほど、これらの影響が大きいことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度および平成25年度の研究計画は概ね達成できた。健常若年女性に果糖を摂取させ、呼気ガス中の水素濃度を測定することにより、吸収障害や腹部症状をきたさない果糖摂取量を設定した。それに基づき、果糖摂取が糖・脂質代謝に及ぼす影響を検討し、脂肪を含まない糖質のみ、とくに果糖の摂取により、内因性リポ蛋白中のトリグリセライドが上昇することを示した。平成25年度は、これらの結果をもとに、糖質、とくに果糖と脂肪を同時摂取した場合の食後トリグリセライド濃度に与える影響を検討し、果糖の摂取が著明に食後トリグリセライドの上昇を増悪、遷延させることを示した。これら果糖の影響は予想以上に大きく、果糖の慢性的な摂取過剰は、健康に重大な影響を及ぼす可能性が懸念され、早急な対策が必要であると考える。現在までの成果は、学会で発表し、原著論文としてまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成26年度は、果糖の健康影響、とくに食後トリグリセライド上昇の増悪に対する対策を講ずることを目的とする。果糖の健康影響を回避するためには、摂取量の抑制に対する啓蒙が当然必要であるが、そればかりでは問題は解決されないと考える。食後の脂質代謝を改善する方策として、第一に運動が考えられる。そこで最終年度は果糖の食後脂質代謝に対する悪影響を運動が緩和できるか否かを検討する。とくに一般に受け入れられやすく、持続可能なレベルの有酸素運動に焦点を当てて検討する。
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Research Products
(8 results)