2012 Fiscal Year Research-status Report
高血圧患者および一般住民を対象とした食塩摂取量評価法の確立
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24500884
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Hospital Organization, Kyushu Medical Center (Clinical Institute) |
Principal Investigator |
土橋 卓也 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, その他 (30163827)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食塩 / 高血圧 |
Research Abstract |
1)外来高血圧患者における食塩摂取量の評価:各種評価法による検討 九州医療センター高血圧外来において1998年以降、24時間家庭蓄尿を施行して食塩排泄量を評価し、継続的に通院中の患者を対象として蓄尿実施前月に簡易型自記式食事歴法質問票(brief-type self-administered diet history questionnaire; BDHQ)を渡して、以後1ヶ月間の食事内容について質問票の記載を依頼し、食塩摂取量を含んだ評価を行った。外来受診前日に分割採尿器ユリンメートPを用いた24時間家庭蓄尿を実施し、記入済みのBDHQとともに受診時に持参、受診当日は朝食絶食下での来院を指示し、随時尿を採取してNa、Cr濃度を測定した後、INTERSALT studyで提示された1日食塩排泄量推定式を用いて推定食塩排泄量を算出した。24時間蓄尿による実測値、随時尿による推定値、BDHQによる推定値各々の関連について検討した。その結果、24時間蓄尿による実測値と随時尿による推定値との間にはr=0.30(N=205, p<0.01)、またBDHQによる推定値との間にはr=0.34(p<0.01)と有意な相関を認めた。 2)地域住民における食塩摂取量の評価:質問表と随時尿を用いた検討 福岡県宗像市大島に在住する成人242名に対し、BDHQの記入を依頼し、直近1ヶ月間の食事歴について食塩摂取量を含んだ評価を行った。また朝食絶食下での随時尿の採取し、1)と同様の方法で食塩排泄量を推定した。その結果BDHQによる食塩摂取量推定値は平均12.8g/日、随時尿による推定値は平均9.3g/日であり、両者の間にはr=0.17(p<0.01)と有意な相関を認めた。 以上の成績より、食事調査、随時尿を用いた食塩摂取量の推定には一定の妥当性があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、高血圧患者および一般住民を対象とした食塩摂取量の客観的評価方法を確立することを目的としたものであるが、これまでの成績で簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)および随時尿を用いた評価法が24時間蓄尿を用いた実測値に対して一定の相関を認め、利用可能な妥当性を有することを明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
1)外来高血圧患者における食塩摂取量の評価:各種評価法による検討 最長10年間に及ぶ過去の蓄尿による測定値の平均や変動性と直近の測定値あるいは推定値との関連を検討することにより各個人の食塩摂取量の特性に応じた各評価法の信頼度と限界について検証する。さらに長期的に評価した食塩摂取量が高血圧性臓器障害と関連するか否かについても検討する。 2)地域住民における食塩摂取量の評価:介入効果の指標としての有用性の検討 離島住民に対して前年度実施した食塩摂取量推定値をフィードバックするとともに減塩指導を個人レベルあるいは集団レベルで連携研究者により実施し、指導効果について検証を行う。 3)新たな食事調査票の妥当性の検討 BDHQを用いた食事調査の有用性は明らかとなったが、その実施は煩雑であり、反復して行うことが容易でない。そこで、より簡略化した調査票を作成し、その妥当性を24時間蓄尿による実測値あるいは随時尿を用いた推定値と比較することで検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度同様、24時間家庭蓄尿を実施するための分割採尿器、尿中Na、K、Cr測定のための生化学検査費、データ記録媒体、データ解析ソフト(更新維持費を含む)などが主たる消耗品費となる。さらに連携研究者との打ち合わせ会議、学会発表、論文作成費が別途必要である。
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Research Products
(8 results)