2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500967
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 英世 山形大学, 農学部, 教授 (60235380)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 血管障害 / 酸化ストレス / グルタチオン / 鉄 / 培養細胞 / 生理活性 / 生体分子 |
Research Abstract |
糖尿病性血管障害の発症に関わる未知の機構を解明し防御に役立てることを目的とした本研究において、初年度である平成24年度には、まず培養ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)および培養ヒト腎メサンギウム細胞(HRMC)を用いて、糖尿病モデルとしての高濃度グルコースによる細胞障害の安定的な培養系を確立した。培養HUVECを用いた糖尿病性血管障害の研究は、高グルコース毒性の発現を再現できないことが大きな障害となっていたが、研究代表者は既にその原因を発見して来ており、今年度は継代培養HUVEC・HRMCを用いて高グルコースによる細胞障害を安定的に再現することに成功した。 その系を用いて、高グルコース障害が引き起こされている生細胞において、グルタチオン依存系の抗酸化能が顕著に抑制されていることを見出だし(投稿準備中)、その原因に関わる可能性をもつ新規候補化合物について、実験に使用可能なグレードを有する産物の合成を行った(投稿準備中)。予備実験にてすでにグルタチオンのN位が糖化されたN-1-deoxy-fructos-1-yl-glutathioneとS位が糖化されたS-fructos linked glutathioneの合成は試みてあったが、とくにS-fructos linked glutathioneにおけては実際に実験に使用するには不安定で、後続実験に使用可能である産物はこれまで得られてこなかった。今回、受託企業との相談で新たな合成経路により候補化合物を得て、実際にグルタチオン系抗酸化酵素活性を抑制することを見出だした(投稿準備中)。 これまでに、本候補化合物が糖尿病生血管障害の発症に関わるという報告は全くない。本研究において糖尿病の発症機序の新規な側面が解明される可能性があり、そのインパクトは基礎的にも臨床的にも大きいものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、これまでに全く報告のない物質についての研究で、また実験方法についても研究代表者が開発した独自の実験系を用いており、非常に独創的である。そのため、大変新規性が高く、正確を期すため再現性を確認しながら研究を遂行しており、時間はかかっている。と同時に、その新規性のため、研究代表者は早急な結果取得/論文公表をと考えている。客観的にはおおむね順調に進展していると思うが、研究代表者としては次年度はさらに計画以上に進展させたいと望んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度において、高グルコース毒性に感受性となる培養ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)およびヒト腎メサンギウム細胞(HRMC)の系を確立したので、本研究課題2年目を迎える次年度には、高グルコース負荷による細胞障害を来した培養細胞系において、潰した細胞液中に、合成した候補化合物と同じ物質が存在するか否かを、HPLCを用いて検討したい。 また、培養細胞を用いて、合成した候補化合物についてのバイオアッセイを行いたい。培養HUVECやHRMCを用いて、合成化合物を添加し、細胞障害が引き起こされるか否かを観察する。また、添加濃度と処理時間を変えながら生細胞数のカウントを行い、一定の細胞障害が得られるための条件設定を行う。そして条件設定通りに合成化合物を添加したときのアポトーシスの有無を検討する。さらにその条件設定で合成化合物を添加した時の、各培養細胞における実際の抗酸化能を検討する。方法としては、生きたままの培養細胞に過酸化水素を加えて経時的な消去を測定することで、すでに研究代表者らが独自に開発した方法にて解析を行う。 研究代表者は次年度から所属機関が変更となり、上記の培養実験を遂行するためには、新たに備えなければならない物品が生じるが、これまで以上に研究環境は整う予定である。新しい研究室を率いて研究を飛躍的に進展させたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Journal Article] Mutation of ATF4 mediates resistance of neuronal cell lines against oxidative stress by inducing xCT expression.2012
Author(s)
Lewerenz, J., Sato, H., Albrecht, P., Henke, N., Noack, R., Methner, A., and Maher, P.
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Journal Title
Cell Death & Differentiation
Volume: 19
Pages: 847-858
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Enhanced expression of cystine/glutamate transporter in the lung caused by the oxidative stress-inducing agent paraquat.2012
Author(s)
Kobayashi, S., Kuwata, K., Sugimoto, T., Igarashi, K., Osaki, M., Okada, F., Fujii, J., Bannai, S., and Sato, H.
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Journal Title
Free Radic. Biol. Med.
Volume: 53
Pages: 2197-2203
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Role of cystine/glutamate transporter, System xc-, on NO release from macrophages.
Author(s)
Kobayashi, S., Sambe, Y., Tsutsui, T., Bannai, S., and Sato, H.
Organizer
16th Society for Free Radical Research International Meeting
Place of Presentation
London(イギリス)
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