2012 Fiscal Year Research-status Report
食物繊維による小腸上皮細胞上グルカン受容体シグナルを介した抗炎症機構の解析
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24500974
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水野 雅史 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00212233)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / 炎症性腸疾患 / インターロイキン8 |
Research Abstract |
免疫担当細胞である樹状細胞は、貪食能を有し初期免疫に関わるのと同時に、未分化のT細胞に抗原提示を行うことによりエフェクター細胞へと分化誘導し、獲得免疫へと繋げる重要な役割を持つ。炎症性腸疾患においては、マクロファージの他、腸管粘膜の樹状細胞でも異常な活性化を起こすことが知られている。本研究では、腸管粘膜の樹状細胞に対する食品成分の影響を評価するために、in vitro実験系の構築を試みた。マウス骨髄より前駆細胞を採取し、GM-CSFおよびIL-4存在下で培養、樹状細胞表面マーカーであるCD11cに対する抗体を用いて分離することにより樹状細胞を得た。小腸上皮様Caco-2細胞および樹状細胞をトランズウェルを用いて共培養を行い、樹状細胞側にLPSを添加した。その結果、樹状細胞よりTNF-産生およびIL-12p40 mRNA発現の亢進がみられた。また、Caco-2細胞においては、IL-8 mRNA発現の亢進が認められた。一方、炎症性腸疾患の経口治療薬であるブデソニドを処理すると、樹状細胞およびCaco-2細胞における上記の炎症性応答は有意に抑制された。これらの結果から、樹状細胞を用いたin vitroにおける腸管炎症モデルを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究目標である樹状細胞を用いた共培養系の構築を行い、その有効性についても経口治療薬であるブデソニドを処理することによって、小腸上皮細胞様株価細胞であるCaco-2細胞からのケモカインIL-8産生を抑制されることを明らかにし実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
IBDを抑制できる食品因子として期待できるレンチナンを認識する受容体を明らかにすることで、小腸上皮細胞が以下にして高分子多糖類を認識するのかを明らかにし、炎症抑制機構の情報伝達経路を明らかにする。そのため、小腸上皮細胞上には受容体Toll-like receptor (TLR)1~10が存在しており、それぞれ特有のリガンドを認識し、自然免疫を司っている。これらの受容体のうちどの受容体を介して樹状細胞はレンチナンを認識するのかを特定するため、それぞれの受容体の抗体を中和抗体としてCaco-2細胞に処理した後レンチナンを添加し、LPS刺激下でのIL-8産生における抑制効果の打破が起こるかどうかを検討する。また、最近になってβ-グルカンレセプターとして見つけられたDectin-1あるいは2についても同様に検討を行い、レンチナンを認識する小腸上皮細胞上受容体を特定する。特定できた受容体が本当に機能しているのかを確認するために、受容体をノックダウンしたCaco-2細胞を作成して、IBDプロトタイプ腸管モデルに応用し同様の実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
レンチナン受容体を特定するためにTLR10種類およびDectin-1の中和抗体を購入し、Caco-2細胞に処理してIL-8mRNA発現を検討する。また、IL-8mRNA発現が抑制されなかった実験からレンチナン受容体の候補としてあがったものについては、そのKOマウスを用いてDSS誘導腸炎モデルマウスを作成し、レンチナンの効果との関連性を検討し、受容体を同定する。そのために、実験動物費と今年度は計上した。
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Research Products
(3 results)