2013 Fiscal Year Research-status Report
食物繊維による小腸上皮細胞上グルカン受容体シグナルを介した抗炎症機構の解析
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24500974
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水野 雅史 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00212233)
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Keywords | 炎症生腸疾患 / βグルカン / レンチナン / 腫瘍壊死因子受容体 / 小腸上皮細胞 |
Research Abstract |
レンチナンは、シイタケ子実体に含まれるβ-1,3;1,6構造を持つβ-グルカンであり、宿主介在性による免疫賦活能によって抗腫瘍効果を持つことが報告されている。レンチナンが、in vitro腸管炎症モデル系およびin vivoデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性腸炎マウスモデルにおいて抗炎症効果を持つことが明らかとなっている。しかしながら、腸管においてどのようにレンチナンが認識されるのかについては不明である。そこで本研究では、in vitroおよびin vivo実験を用いた腸管でのレンチナナン認識機構、およびレンチナンの抗炎症効果との関連性を検討した。先ずβグルカン受容体として知られているDectin-1 およびトル様受容体2(TLR2)に着目し、抗Dectin-1あるいはTLR2抗体をin vitro腸管炎症モデル系の小腸上皮細胞側(Caco-2細胞)に前処理した後、リポポリサッカライド(LPS)による刺激を行い炎症状態下での抗炎症効果を検討したところ、Dectin-1処理区でのみ有意な抑制が認められた。一方、TLR2に関してはその効果は認められなかった。さらに、in vivoでも確認するため、Dectin-1 KOマウスを用いたDSS誘導腸炎モデルマウスを行った。その結果、Wild型ではレンチナンによる抑制が認められたのに対して、KO型ではその効果は予想通りキャンセルされた。以上の結果から、レンチナンによる抗炎症効果は、腸上皮細胞に発現しているDectin-1を介して引き起こされることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目的であったシイタケ中に含まれる機能性多糖レンチナンを認識する受容体が、小腸上皮細胞に発現しているDectin-1であることをDectin-1KOマウスを使うことで明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
レンチナンによる抗炎症効果は、腸上皮細胞上に発現しているDectin-1によって認識されたレンチナンが基底膜側に発現している腫瘍壊死因子(TNF)-α受容体1(TNFR1)量を減少させるためであるが、どうしてTNF-αを認識するTNFR1が基底膜側で減少するのかを明らかにする。また、TNFR1がどのようにして基底膜側から消失していっているのかを可視化するためにGFPとのフィージョンタンパクをCaco-2細胞中に発現させて、共焦点顕微鏡下で観察することで明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
腸管上皮細胞上に存在するレンチナン認識受容体を検討する際に、当初はTLR受容体10種類に関して検討する予定であったが、実際実験を行った結果4種類の中和抗体を用いた時点で、標的とする受容体が見つかったため、計上した金額よりも少額で研究が遂行できたため。 レンチナン受容体として見つかったDectin-1をサイレンシングしたCaco-2細胞を構築して、インビボで確認された抗炎症効果をインビトロ系においてもレンチナンの抗炎症効果があるか否かを確認する予定である。具体的には、Decrin-1 shRNAを用いてDectin-1をノックダウンしたCaco-2細胞を作出し、レンチナンによる抗炎症効果がキャンセルされるかどうかを検討する。
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Research Products
(5 results)