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2012 Fiscal Year Research-status Report

生活習慣病を伴った血中の高コレステロールがもたらすマラリアの感染と治療への影響

Research Project

Project/Area Number 24500992
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionJichi Medical University

Principal Investigator

早川 枝李  自治医科大学, 医学部, 助教 (00383753)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords国際情報交換 / マラリア / 膜構造
Research Abstract

熱帯熱マラリア原虫は赤血球に侵入後、自己の蛋白質を400種以上発現し赤血球膜表面に輸送する。しかし核を持たない赤血球内でそれらのタンパク質がどのように輸送されているのか詳細は不明であるが、Maurer’s cleftと呼ばれる膜構造が蛋白質輸送に関与していることが示唆されている。
マラリア原虫はヒト体内では血液中からコレステロールを、赤血球内からはヘモグロビンを分解・消化しアミノ酸や脂質を取り込む。このヘモグロビンの分解過程で生じるヘムは、酸化作用によりマラリア原虫を攻撃するため、マラリアはヘム→ヘモゾインを形成することで酸化環境から身を守っている。抗マラリア薬のターゲットの1つが、この酸化環境からの防御を阻害することであることから、人工的に酸化状態を誘導し脂質や蛋白質の輸送がどのように変化するか検討することは、マラリア原虫の細胞内防御機構を検討する上で興味深い。
本研究では、ヒト血液内で酸化環境との関係が指摘されているLDL、sd-LDL、またHDLをマラリア原虫の培養環境下に共存させ、赤血球内でのタンパク質輸送や脂質やアミノ酸などの輸送(外部からの取り込み)にどのような影響があるか検討する。初年度は、マラリア原虫由来の蛋白質の指標としてMaurer’s cleft associated histidine rich protein (MAHRP)-1の抗体作成から開始した。マラリア原虫はヒトの遺伝子とは異なり、80%以上がATリッチであり、またMAHRP-1は膜蛋白質であるため全配列をもとにして抗体を作成することは困難であった。そこでC末側、N末側の両方から塩基配列の候補を選定しペプチド抗体を作成し、ウェスタンブロッティングの結果からMAHRP-1と思われるバンドが確認された。さらにLDL、HDLはヒト血液から分離・精製する必要があるため精製まで確立した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度は、今後の実験に必要となる抗体の作成・精製や各種リポタンパク質の分離・精製技術の確立に時間を要した。初年度に「モノづくり」を行ったことで、2年目以降はこれらを使用して具体的な実験に進むことが可能となった。
さらに、本研究においてマラリア原虫感染赤血球内部に構築される複雑な膜の構造を正確に検出することは、蛋白質輸送のメカニズムを解明する上で非常に重要である。このため、新しい技術を用いた複数種の電子顕微鏡観察を行っている。その中でもイオン液体を用いた新たな電子顕微鏡技術の確立は画期的なものであるが、イオン液体が赤血球膜へ及ぼす物理化学的影響についてはまったくわかっていない。そこで、人工脂質膜を用いてイオン液体の影響について検討を行った結果、イオン液体の持つ新たな物性が明らかになった。この結果についてアメリカ生物物理学会で成果発表を行い、現在、投稿論文として作成しており、近日中に投稿する予定である。

Strategy for Future Research Activity

(A)マラリア原虫培養におけるLDL-Chol、酸化LDL-Cholの影響の検討
通常の熱帯熱マラリア原虫(P. falciparumII, 3D7株)の培養環境に、LDL-Chol、HDL-Chol、 または 酸化LDL-Cholをそれぞれ添加し、マラリア原虫の生育状況を各感染ステージで検討する。とくにHDLは血中コレステロールの引き抜きに関与していると言われていることから、マラリア原虫の生存との関係について検討を行う。
(B)LDL-Chol、 酸化LDL-Cholの赤血球膜への影響
マラリアが感染すると、感染赤血球膜の様々な物性が変化することがわかってきた。そこで、LDL-Chol、 酸化LDL-Chol存在下で培養した感染赤血球の膜の物性測定として、通常が赤血球膜の内側に存在するフォスファチジルセリン(PS)の分布状態について、フローサイトメトリー(FACS)を用いて検討する。
次に、膜に存在する脂質マイクロドメイン(raft)の形成に変化があるか、またraftに存在するタンパク質や赤血球膜の骨格タンパク質(アクチン、スペクトリン、Band3など)の発現についての影響をみるために、各条件下で培養した感染赤血球膜と非感染赤血球膜の膜分画をとり、ウェスタンブロッティングを用いて各タンパク質の局在について検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

HDL、LDL、sd-LDLのヒト血液からの精製に必要な消耗品を計上する。またマラリア原虫の培養を含む各種実験に必要なプラスティック(消耗品)も形状する。共焦点顕微鏡、電子顕微鏡観察は中心的実験の1つである。これらの装置を使用する共同利用施設への使用料の発生も予想される。
さらに、本年度の成果発表・および情報取集として国内・海外の学会への参加のための旅費も計上する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] 日本人大学生における抗トキソプラズマ抗体の保有率2013

    • Author(s)
      松岡 裕之,山本 大介,早川 枝李
    • Organizer
      第82回 日本寄生虫学会大会
    • Place of Presentation
      東京都
    • Year and Date
      20130328-20130331
  • [Presentation] Vesicles fusion induced by concentrated hydrophilic ionic liquids2013

    • Author(s)
      Eri H. Hayakawa, Eiko Mochizuki, Tetsuya Tsuda, Kazunari Akiyoshi, Koshi Kawakami, Hiroyuki Matsuoka and Susumu Kuwabata
    • Organizer
      Biophysical society annual meeting (USA)
    • Place of Presentation
      Philadelphia
    • Year and Date
      20130215-20130219
  • [Presentation] イオン液体を用いた高分子および生物試料の電子顕微鏡観察2012

    • Author(s)
      望月 衛子・早川 枝李 ・岸田 祥子・ 川上 皓史・津田 哲哉 ・桑畑 進
    • Organizer
      第61回高分子学会
    • Place of Presentation
      横浜市
    • Year and Date
      20120529-20120531
  • [Presentation] 電子顕微鏡技術への展開を志向したイオン液体の開発2012

    • Author(s)
      津田哲哉、根本典子、望月衛子、岸田祥子、早川枝李、石垣靖人、阪上宏樹、新垣篤史、桑畑 進
    • Organizer
      第28回 医学生物学電子顕微鏡技術学会
    • Place of Presentation
      盛岡市
    • Year and Date
      20120511-20120513

URL: 

Published: 2014-07-24  

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