2013 Fiscal Year Research-status Report
植物由来食成分(フィトケミカル)の乳癌及び大腸癌に対する抗癌作用の機序解析
Project/Area Number |
24501020
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
中野 修治 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (40164248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹嶋 美夏子 中村学園大学, 栄養科学部, 助教 (00241183)
小野 美咲 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (10441726)
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Keywords | 乳癌細胞 / フィトケミカル / 増殖制御 / アポトーシス / シグナル伝達 / 細胞周期 |
Research Abstract |
食物由来食成分(フィトケミカル)のサブタイプ別乳癌細胞株におけるフィトケミカルの増殖抑制機序をWSTアッセイで、細胞周期解析をフローサイトメトリー、細胞内シグナル伝達をウエスタン・ブロットにより解析した。 ①トマトの赤色成分であるリコペンの増殖抑制効果を、ER/PRホルモン受容体陽性乳癌細胞株(MCF-7)およびHer-2増幅乳癌細胞株(SK-BR3)、トリプルネガティブ乳癌細胞株(MDA-MB-468)の3種類の細胞株を使用し解析した。リコペンは乳癌細胞の増殖を抑制するが、とくにトリプル・ネガティブ乳癌に対しては約3倍の感受性を示し、アポトーシスを強く誘導した。リコペンはERK1/2を活性化し、サイクリンD1抑制とp21の上昇を伴い、細胞周期をG0/G1に停止させた。またAktとその下流のmTORを抑制し、Baxを上昇させアポトシーシスを誘導することがわかった(Cancer Sci. 2014 105(3):252-7) ②柑橘類の果皮成分であるノビレチンは、やはりトリプル・ネガティブ乳癌細胞に対し強い増殖抑制作用を示すが、その作用機序はリコペンと異なり、ERK1/2を抑制し、サイクリンD1抑制とp21の上昇を伴いBaxは変化せず、抗アポトーシス作用のあるBcl-xLを抑制してアポトーシスを誘導することが判明した(Anticancer Res. 2014 34(4):1785-92)。このようにフィトケミカルは、いまだ化学療法に耐性であり予後が悪いトリプル・ネガティブ乳癌の予防に効果を発揮する可能性があり、乳がん発症動物モデルで検証中である。 ③カテキンによる乳癌細胞の増殖抑制、殺細胞を効果の検討:エピガロカテキンガラートの持つ酸化作用以外の機序を、過酸化水素消去剤であるCatalaseを同時添加することによって解析している(EB2014, San Diego, CAで発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳癌に対する抗癌作用は現在まで、大豆イソフラボンであるゲネステイン、トマト成分であるリコペン(Cancer Sci. 2014 105(3):252-7)、かんきつ類の果皮成分であるノビレチン(Anticancer Res. 2014 34(4):1785-92)、茶ポリフェノールであるカテキン、ウコンの成分であるクルクミン(Biochem Biophys Res Commun. 2013 ;436(2):186-91)などについて細胞レベルで明らかにしてきた。また動物レベルでもゲニステインについては乳癌発症モデルを使用して予防効果を検証した(Nutr Cancer. 2012;64(8):1204-10)。しかし大腸癌については細胞レベルの研究は開始したが、大腸癌発症の動物レベルでの予防検証実験は行う余裕がなかった。このため、乳癌については一応の成果が得られたが、大腸癌の予防実験と細胞レベルの実験は進んでいないため、おおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の研究の推進方策)①平成25年度の研究の継続と、新たな食成分(レスベラトロール、セサミンなど)を加えその乳癌細胞増殖抑制機序を明らかにする。②EMS乳癌発症モデルラットを使用しこれらのフィトケミカルの乳癌予防効果を検証する。③大腸癌発症モデルラットであるKyoto Apc Delta (KAD) ラットを使用して、フィトケミカルの大腸癌予防効果を検証する。④乳癌担癌マウスモデルでのがん抑制効果を、飼料にフィトケミカルを添加した群と無添加群で腫瘍サイズを継時的に測定する。これによりヒト乳癌の進行に対する抑制効果も検証する。 (次年度の研究費の使用計画)①種々の食成分の抗癌作用を乳癌細胞、大腸癌細胞を使用し、細胞・分子レベルで明らかにする。このため研究費は培養器具や培地、仔牛血清、ウエスタンブロット用の抗体などの消耗品に充てる。②担癌マウス作成のためヌードマウス購入、フィトケミカルの血中濃度の外注、腫瘍組織の病理とホルモン受容体、HER2などの発現の免疫組織染色などの外注に充てる。③得られた成果を米国Experimental Biology 2015学会に手発表するための旅費と論文投稿費、別刷印刷費に充てる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験補助へのバイト代が高く見積もられていたため。 次年度より消耗品としての使用する。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Discontinuation of leisure time impact-loading exercise is related to reduction of a calcaneus quantitative ultrasound parameter in young adult Japanese females: a 3-year follow-up study2014
Author(s)
Nakazono E, Miyazaki H, Abe S, Imai K, Masuda T, Iwamoto M, Moriguchi R, Ueno H, Ono M, Yazumi K, Moriyama K, Nakano S, Tsuda H
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Journal Title
Osteoporos Int.
Volume: 25
Pages: 485-495
DOI
Peer Reviewed
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