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2013 Fiscal Year Research-status Report

物理学、化学の概念と連結した火山および火成岩の学習プログラムの基盤づくり

Research Project

Project/Area Number 24501043
Research InstitutionNiigata University

Principal Investigator

藤林 紀枝  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (20238603)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 片岡 香子  新潟大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00378548)
小林 昭三  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 名誉教授 (10018822)
Keywords火山の噴火 / 中学校の火山の学習 / マグマ / 気泡 / 結晶
Research Abstract

中学校理科2分野上の「変動する大地」の単元の第1章「激しく活動する大地」は、「地震」、「火山の噴火や活動」、「火成岩のつくりやでき方」の3部で構成される。このうちの「火山の噴火や活動」では、マグマ、マグマの粘性、噴火の激しさ、火山の形、溶岩の色あい、火山噴出物、火山災害について教育する。「火成岩のつくりやでき方」では、火山灰中の鉱物観察や岩石の肉眼観察を行いながら、火成岩の組織や火成岩をつくる鉱物を学習する(学校図書「中学校科学2上」より)。しかし、火山噴火や岩石は生徒にとって必ずしも身近な事象ではない。噴火が起きるしくみや、身近な岩石ができるしくみに目を向けさせたいものである(藤林・平中 2010)。
本年度の主な研究実績としては、次の(1)~(3)が挙げられる。
(1)中学校教員養成のためのマグマと火山活動の学習指導のため、マグマの「飽和」と「飽和生成物の三態」、超臨界流体および気体の「体積変化」の学習内容を作成し、柏崎刈羽地区科学技術教育センター主催の「上越地区合同野外研修会」で講義を行った。
(2)実際の例として,十和田火山と榛名火山のプリニー式噴火で放出された軽石(デイサイト質)と、佐渡市小木半島に分布する海底溶岩噴泉堆積物(玄武岩質)のスコリアを採取して薄片を作成し、顕微鏡下で比較を行った。その結果、軽石中には複数の気泡が合体した組織が良く観察でき、高い粘性との関連性が明らかとなった。また、榛名火山の軽石中には破砕された結晶が多く含まれ、ジグゾーパズル状に破砕した結晶と気泡と関係から,減圧に伴う気泡の急激な体積変化により結晶破砕が起きていることが予察できた。これは、爆発的噴火と気泡の破砕の関係を示す新たな知見である。
(3)テフラ研究の指導的内容を論文「テフラ学」(1)~(5)として「第四紀研究」に連載中である。(1)、(2)は、すでに印刷済み(長橋・片岡 2014)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は、高速度カメラをレンタルして、マグマ中の気泡の挙動を可視化するアナログ実験を行う予定であったが、プリニー式噴火の例が十和田火山だけでは不十分なため、榛名火山の軽石試料を研究対象に加えた。そのため、(1) 榛名火山の軽石試料の採取と、(2) 榛名火山および十和田火山の軽石試料の薄片作成(25試料)、そして(3)顕微鏡観察に予想外の時間がかかり、結果アナログ実験を行うに至らなかった。特に(2)の軽石の薄片作成において、その多孔質で脆い性質に起因し、発泡組織を破損せず保存した状態の薄片を作成する作業が難航した。最終的には、アスピレーターを用いて軽石中に樹脂を侵入・充填する方法が最も効果的であることがわかり、それにより顕微鏡下で気泡と結晶破砕の関係についての新たな知見を得ることができた。したがって,粘性の高いマグマ中での気泡の合体、急激な減圧膨張とそれによる結晶やマグマの破砕といった一連の過程を予察することができ、次年度行うアナログ実験の構想の基礎を作ることができた。

Strategy for Future Research Activity

平成26年度は本研究の最終年度となるため、(1) これまでの成果を論文で公表するとともに、(2) 平成25年度に得た新たな知見を活かして、アナログ実験でのマグマの気泡の挙動と破砕の学習教材を作成する。また、(3) これらの成果をホームページ上にて公開する予定である。(1)については、すでに佐渡市小木半島に分布する溶岩噴泉堆積物の火山学的・地質学的研究成果が「The Island Arc」誌の査読の最終段階である(藤林他)。加えて、榛名火山のプリニー式噴火で放出された軽石の発泡組織と結晶の破砕について得た知見を、本年度公表する計画である(藤林・片岡他)。(2)については、高速度カメラをレンタルし、様々な粘性のマグマのかわりに歯科印象剤やカルメラを用いて減圧実験を行い、火道内でのマグマの破砕を再現する。加圧・減圧には、大学で購入予定のコンプレッサー/アスピレーター機能付きのデシケーターを活用する。これにより、歯科印象剤やカルメラ中の炭酸ガスを加圧状態から急に減圧する実験を行うことができるはずである。(3)については、すでに作成したコンテンツを7~9月にかけて掲載する計画である。掲載予定のコンテンツは,次の通りである。
1. マグマの発泡現象の基礎。
2. 粘性が異なるマグマの発泡(岩石をプレパラートで見ると。
(1) 偏光顕微鏡で見るマグマの世界、(2) 粘性の小さいマグマの例、(3)粘性の大きいマグマの例。
3. マグマ中で作られる結晶(鉱物)は。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

高速度カメラのデモンストレーションの結果を考慮して、その購入を取りやめ機器をレンタルすることにしたが、本年度の研究で研究素材とした軽石の採取(榛名火山)とそのプレパラート作成が長引いたため,アナログ実験を行うに至らなかった。一方で,プレパラートの観察がマグマの発泡組織と破砕過程に関する新たな知見をもたらすことがわかったので、より有益な使用計画として、デジタルカメラ付き偏光顕微鏡をもう一式購入したいと考えている。
本年度の研究成果の一つとして、軽石のプレパラートを用いた顕微鏡画像が,気泡の挙動とマグマの破砕過程を示す最も有益な方法の一つであることわかった。そのためデジタルカメラ付き偏光顕微鏡をもう一式購入し、また次年度配分金額により研究補助者を雇用することにより、最終年度の作業を効率化したいと考えている。また、遅れているアナログ実験を早期に実施し、発泡とマグマ破砕の素過程を示す学習素材の作成、webページの作成を行う予定である。したがって、この次年度使用額(1,410千円)は、デジタルカメラ付き偏光顕微鏡一式(1070千円)の購入と、高速度カメラのレンタル(300千円)に当てる計画である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2014 2013

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] テフラ学(第1回):用語法2014

    • Author(s)
      長橋良隆・片岡香子
    • Journal Title

      第四紀研究

      Volume: 53 Pages: 103-109

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] テフラ学(第2回):テフラ層の同時堆積性について2014

    • Author(s)
      長橋良隆・片岡香子
    • Journal Title

      第四紀研究

      Volume: 53 Pages: 111-116

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 日本各地で発見される『理科の時代』の物理授業筆記ー『実験で自然に問うた」欧米の物理授業の影響ー2013

    • Author(s)
      小林昭三
    • Journal Title

      大学の物理教育(日本物理学会)

      Volume: 12 Pages: 25-29

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 苗場山山頂の湿原堆積物に挟在するテフラ層2013

    • Author(s)
      卜部厚志・片岡香子
    • Journal Title

      第四紀研究

      Volume: 52 Pages: 241-254

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] アクテイブラーニング型科学教育の発展と新展開ー階層的自然の結節概念の形成を生む鍵実験・検証授業2013

    • Author(s)
      小林昭三,興治文子
    • Organizer
      APEJ夏季大会・総合講演
    • Place of Presentation
      新潟大学
    • Year and Date
      20130727-20130728
    • Invited
  • [Presentation] Sm-Nd mineral isochrons and trace element compositions of parent melts for Atsumi gabbroic xenoliths included in the late Miocene volcanic rocks, Atsumi area, western margin of NE Japan2013

    • Author(s)
      Fujibayashi N. et al. 5名,
    • Organizer
      International Association of Volocanology and Chemistry of the Earth’s Interior, Scientific Assembly
    • Place of Presentation
      鹿児島
    • Year and Date
      20130720-20130724

URL: 

Published: 2015-05-28  

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