2012 Fiscal Year Research-status Report
小中高等学校の教育現場で活用可能な「目に見える放射線検出教材」の開発と実用化
Project/Area Number |
24501091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
古田 悦子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 講師 (40422563)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 理科教育 / 放射能 / 画像化 / 簡易線量計 |
Research Abstract |
理解しやすい放射線教育を行うために放射線の画像化を目標とした。また、現在も画像化を可能とする高額な機器は存在するが、各教育現場への設置は不可能なことから教育現場で活用可能な安価な教材の開発を目的とした。過去に事例のあるものも含め、以下に挙げる4方法を試みた。 実施1;CCDカメラによる放射線源の可視化。結果1;241Amのアルファ線標準線源を用いた場合、CCDカメラを用いて「青い光」を撮影することはできたが(既にインターネット上にアップされている)、線源を事故後に拡散した137Csや天然放射性物質の232Th(238U)に交換した場合、長時間露光を行っても画像を得ることはできなかった。一般にアルファ線源を用意することは難しい。 実施2;webカメラによる放射線源の画像化。結果2;インターネット上に「ガスランタンマントル」(線源は232Th)の画像化が可能とする情報があり、確認のためにwebカメラと入手した数種類のソフトで画像化を試みたが、いずれも不可であった。 実施3;簡易線量計による計数の取得。結果3;安価な「エアカウンター」を分解し、ZnS,プラスチックシンチレータなど発光体を介して計数を測定した。アルファ、ベータ、ガンマ線ともに、自然計数(BG)と比較して、有意な計数は得られなかった。 実施4;GM計数管(日立アロカ;TGS-133)にアルミ板コリメータを取り付けて直径2.5 cmの穴とし、KClに含まれる自然放射線を測定した。結果4;BGに比べ有意な計数が得られたため、KClを用いた画像を作成した。これは、画像の一部をKClで、他の部分を一般の塩、または砂で作成した。全体を2.5 cmずつ移動させながら計数を測り、excelを用いて画像化した。 成果として、実施4により、適切な画像を用いることで、目に見える像とベータ線による放射線画像に違いができることを示すことができた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然放射性同位元素から放出される放射線には、α線、β線、γ線など多種類ある。放射線種に係わらずこれらを一時に検出する方法は、一部の高額機器に限られている。このため、2012年度はα線、β線による画像化を試み、画像を得ている。ただし、ベータ線に関しては、大口径GM計数管を用いており、これを簡易線量計に置き換えて画像化可能かを調べる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ベータ線に関して、簡易線量計を用いて画像化可能かを調べる。γ線による画像化を試みる。推進するためには適切なガンマ線源の入手が問題である。これは、計画当初は東京電力福島第一原子力発電所事故による137Csが充分に存在すると考えていたが、事故現場近傍を除き放射能が低かったことによる。すなわち、放射線源の検討が必要である。 また、γ線検出部として小型の半導体、ペン型のホトマル等の安価な物を探し、計数の積算を行える簡易線量計を分解し、検出部と組み合わせて使えるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.γ線源として、何らかの自然放射線源を密封状態にするためのキット作成費。 2.計数の積算可能な簡易線量計の購入。 3.研究成果発表のための旅費。
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