2012 Fiscal Year Research-status Report
創成型ティーチングアシスタント教育による高大院連携工学系化学教育プログラムの開発
Project/Area Number |
24501103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
南川 慶二 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (70250959)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高大連携 / 創成型教育 / 工学系化学教育 |
Research Abstract |
工学系化学分野の学部生・大学院生への創造性教育と、高校生の理科離れ・工学離れ対策の同時実現を目的として、高・大・院グループによる化学実験を院生から学部生、学部生から高校生への指導と協同作業で効率的に実施する仕組みを構築することを目標としている。 本年度は、実験テーマの選定と学部生による高校生への効果的な指導を行うための方法を検討した。過去に化学実験の出張講義で連携実績のある徳島県立科学技術高校において、同高校1年生60名を対象に、主として高分子材料と環境問題に関連したテーマでの実験を行った。実験の計画は大学院生が主体に行い、学部生とのチームを組んで少人数にグループ分けした高校生への指導にあたった。大学教員は全体の進行を確認しながら助言を与えた。高校教員はティーチングアシスタントの指導方法や内容の評価を担当した。 出張講義実施後、高校生および高校教員にアンケートを実施した。高校生の感想から、すべての実験テーマがどれも興味を引くものであったことがわかった。過去のアンケート結果と比較した結果、同一テーマでも高校生の興味の順位が逆転している場合が見られた。その原因の一つとして、指導体制の影響が大きいと考察した。学生の指導に対する高校教員による評価は、概ね好評であったが、説明の方法に関する技術的な問題点がいくつか指摘された。これらのことから、大学院生および学部生のティーチングアシスタント教育を効果的に行い、指導能力を高めることで、高大連携出張講義において効率的かつ効果的に化学実験を取り入れることができると示唆された。この成果は、大学教育に関する国内学会で、高大連携の視点から申請者による報告を行ったほか、高校生を指導したティーチングアシスタントとしての立場から学部生も発表を行った。さらに、大学教育研究の雑誌にも報告を投稿し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、工学系化学分野の学部生・大学院生への創造性教育と、高校生の理科離れ・工学離れ対策の同時実現を目的として、高・大・院グループによる化学実験を実施する。院生から学部生、学部生から高校生への指導と協同作業の仕組みを提案する。院生が創造性を発揮できる実験を企画して学部低学年の学生に指導し、続いて公開講座や出前授業などによって学部生から高校生への指導を計画・実施させることで、院生・学部生自身の能力を高めるとともに、初等中等教育に貢献する仕組みの構築を目指している。 本年度は、連携実績のある高校と詳細な打合せを行い、院生・学部生ティーチングアシスタント(TA)参加型高大連携講座を実施し、その効果を高校生および高校教員へのアンケートを用いて検証した。過去に行った同様の出張講義におけるアンケートと比較し、効果的な連携教育の方法を検討した。得られた成果を大学教育に関する国内学会で2件発表し、雑誌に報告1編を投稿、受理された。これらのことから、当初の計画をおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、高大連携出張講義で学部生のティーチングアシスタント(TA)を主体に企画する。創成学習開発センター登録学生や創成型科目の履修生に趣旨を説明し希望者を募る。大学院生TAに実験テーマの提案と実施法を設計させる。テーマは前年度に高評価を受けたテーマを中心に、新しいテーマも含めて全体的な改良を大学院生と学部生が中心となって検討する。協力関係の高校を訪問し、実施内容と方法の打合せを行う。前年度と同様に学部学生の基礎訓練実施後、TAとして高校での指導を体験させ、教育効果を検討する。 上記の出張講義のほかに、高校生を対象とした学内のイベントである体験大学講座や、小中学生を主な対象とした科学フェスティバル等で拡大実施する。その際には、経験豊富な大学院生と初めてTAとして参加する学部生で縦割りのグループを編成し、新しいテーマの効果的指導法を実践する。受講者や高校教員、保護者等のアンケートをまとめ、実験テーマや指導方法などについての情報を収集し効果的な教育法を検討する。その成果を国内学会および雑誌論文としてまとめ、公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:高校での化学実験を行うための試薬や器具を購入する。新しい実験テーマを検討するために、事前の予備実験を入念に行う必要があり、またTAとして指導を担当する大学院生および学部生の創造性を発揮させることを目的としているため、出張講義の前に学内でさまざまなテーマについて実験条件の検討を詳細に実施する。 旅費:出張講義を行う高校等を訪問し、実施内容や連携の方法について打合せを行う。 謝金:TAとして高校等で指導を行う大学院生および学部生の謝金として用いる。 その他:得られた成果を発表するための学会参加費および教育関係の専門誌への論文投稿料や別刷り等に使用する。
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Research Products
(3 results)