2013 Fiscal Year Research-status Report
緑藻アオミドロの接合を誘発する要因の探索-教材化と分類の見直しを目指して―
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24501114
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
野崎 健太郎 椙山女学園大学, 教育学部, 准教授 (90350967)
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Keywords | アオミドロ / 接合 / 教材 / 分類 |
Research Abstract |
1. アオミドロ接合の教材化 2012年度の研究においてアオミドロの1種 Spirogyra variformis TRANSEAU の詳細な接合過程を顕微鏡写真で記録することに成功した(Nozaki, 2013)。この写真を用いて、理科生物の生殖、特に有性生殖における性の分化を学ぶ教材開発を行った。平成25年度の高等学校理科「生物I」の教科書7社では、同型配偶子による有性生殖の教材として、接合藻4属が取り上げられていた。内訳は、単細胞のクラミドモナス(Chlamydomonas)が3社、糸状藻のアオミドロ(Spirogyra)2社、ヒビミドロ(Ulothrix)、アミミドロ(Hydrodictyon)がそれぞれ1社であった。教材としてクラミドモナスが優勢であった。これはクラミドモナスが生物学研究で多用されるモデル生物であり、その生活史がきちんと把握されているためであると考えられた。そこでクラミドモナスとアオミドロを比較しながら大学生への有性生殖の説明を行い。アオミドロの教材としての価値を検討した。その結果、2つの細胞が全く同じ役割で接合するクラミドモナスに対して、細胞質を排出する細胞と、受け取る細胞に分かれているアオミドロの接合は、性の分化が感じ取れるという点で大学生には理解しやすいことが示唆された(野崎, 2014)。 2. アオミドロの接合の誘発と分類の見直し 2012年度に続き、愛知県を中心にアオミドロの採集を繰り返し、その生息地の水環境と細胞の外部形態の記載を行った。しかしながら、培養に適した株が見つからず、接合の誘発実験は思うように進めることができなかった。DNA解析(16sRNA)による形態分類の見直しについても、分析委託先の機器の不安定さが原因となり、2012年度の結果から進めることができなかった。しかしながら、年度終了間際の2014年3月に静岡県浜松市尾奈で採取したアオミドロが水温変化で接合する傾向を見せたため、この株に注目して研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要2で説明した通り、アオミドロ接合の人為的誘発の研究、および分類の見直しの研究が遅れている。前者は接合しやすい株の採集に手間取っていたこと、後者は、DNA分析の機器の不備であった。そのため、2013年度は、2012年度の研究成果を持ちいて教材化の検討を中心に実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 教材化の研究 野崎(2014)の試行を基盤にして、大学生、高校生、中学生、小学生への実践を試みる。この際に、アオミドロの教材の有用性を測定する指標の開発を重視する。 2. 接合の人為的誘発および分類の再検討 2013年度終了間際(2014年3月)に静岡県浜松市三ケ日町尾奈から得たアオミドロは、実験室で蒸留水、水道水で培養すると3日で60~80%の細胞が接合した。この株を培養し、接合の人為的誘発実験を推進する。アオミドロのDNA解析は、国立科学博物館の専門家に相談し、分析体制を仕切りなおす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大学が春期休暇中に集中的に野外調査を行った。その旅費として保存しておいた2万円弱であるが、会計上、2014年3月20日を越えるものは次年度の扱いとなってしまった。そのため、3月20日以降の調査旅費としてとっておいた19.692円は未使用となってしまった。 2014年3月20日以降の3月22日(岐阜県各務原市)、3月24日(愛知県西尾市)、3月29日(愛知県南知多町)の調査旅費として用いた。
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