2014 Fiscal Year Annual Research Report
緑藻アオミドロの接合を誘発する要因の探索-教材化と分類の見直しを目指して―
Project/Area Number |
24501114
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
野崎 健太郎 椙山女学園大学, 教育学部, 准教授 (90350967)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アオミドロ / 接合 / 窒素欠乏 / 生物学教育 / 科学教育 / 生殖 / 性の分化 / Spirogyra variformis |
Outline of Annual Research Achievements |
1. アオミドロの接合を誘発する要因としての窒素欠乏への疑問 アオミドロ(Spirogyra属)やミカヅキモ(Closterium属)に代表される接合藻は、生息環境の悪化に伴い、有性生殖の出発点となる接合を開始するとされている。接合を誘発する要因としては、主要な栄養分である窒素の欠乏が有力とされている。しかしながら、人為的に接合を誘発させる研究は、栄養豊かな培地で繁殖させた培養株を用いたものが大部分であり、自然界で同様の結論が得られるかどうかは不明であった。そこで、野外から採集したアオミドロの1種、Spirogyra variformis TRANSEAUを用い、実験室での接合の誘発、野外の個体群動態を合わせて研究を行った。その結果、S. variformisは、溶存態窒素濃度の増減に関係なく接合を生じ、群落が消失することが観察された。本種は、窒素欠乏が接合の誘発要因では無いことが示唆された(野崎,2015a)。 2. 理科の生殖の学習における教材としてのアオミドロの有用性の検証 前年度に考案した学習プログラム(野崎,2014)を用い、小学校教員養成課程の理科の授業で大学生に「生殖」の授業を実践した。その結果、異なる糸状体が接合管を伸ばして結ばれ、どちらか一方の細胞質が、もう片方の細胞に流れ込んで受精するというアオミドロの生殖形態は、人間や身近な哺乳動物の生殖形態と共通点が多く見られ、生殖における性の分化を考えさせる教材としてアオミドロが適していることが明らかになった(野崎,2015b)。 3. Spirogyra variformis TRANSEAUの接合および接合胞子の詳細な記載 アオミドロは接合を人為的に誘発させることが困難であるため、接合過程や胞子の形態を詳細に記載した事例は少ない。そこでS.variformisを用いて詳細な記載を行った(Nozaki,2015c)。
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Research Products
(7 results)