2012 Fiscal Year Research-status Report
協調学習支援システムによるグループ作業を組み込んだ工学系授業の実践
Project/Area Number |
24501164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
伊藤 紘二 山口東京理科大学, 工学部, 教授 (20013683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛川 淳一 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (90403310)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 協調学習支援 / 問題解決学習支援 / 工学系授業 / セマンティックネットワーク / 検索エンジン / プランニング支援 / Webシステム / リフレクション |
Research Abstract |
24年度においては、予習的な課題を与えて、支援なしの対面対話によるグループ作業の結果を発表させ、講義につなげる授業の実践を複数の科目で行って、方法を確立した。一方、すでに試作された協調課題解決学習支援システムを、この方法の支援に向けてカスタマイズした。とくに、教材を引用しながら協調場で行われる課題解決過程の議論にもとづき、各メンバが個人場で編集したレポートの断片を協調場に上げて比較検討し、グループのレポートを作って行くエディタを整備した。 また、意味ネットワークによる教材への手がかり表現と学習者がメニューベースで編集したキー表現の間で、スレッド(意味要素の接続)の最長一致による照合カウントを行う検索エンジンについて、ループを含む任意のパターンに対応できるように大幅な改良を行った。教材については、手がかり表現のセマンティックユニットのほか、知識や課題解決の成り立ちの構造を、根拠とするあるいは利用する知識や手続きのブロックの接続として表わすプランユニットのエディタを整備した。この表現は、グループが、解決過程のプランニングを、検索された知識や課題解決事例の構造からとられたブロックの接続で表現するために使われ、レポート作成や発表で参照される。教材のコンテンツについては、次年度からの実践に向けて、既にWord上で用意されているコンテンツを知識の単位に細分化し、必要な補助教材を含めて画像化して上述の2ユニットと共にXHTMLファイルに作成する手順を整備した。教材利用の際に、この教材ファイルを読んでユニットを分離してデータ構造を作り出す一方で、検索された教材のコンテンツを教材場に配信するサーバサイドのプログラムを整備した。 システムとしては、次年度からの実践に向けて、最大6名からなる2グループが、タブレットPCを使い、どの教室でも、同時に協調作業を実施できる環境を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は、予習的な課題を与え、対面対話によるグループ作業の結果を発表させて講義につなげる授業の実践において、協調作業支援システムを使わせたグループと使わせないグループの違いを評価することであるから、まず、支援なしでも、こうした授業が成立するための方法を見出さねばならない。平成24年度では、複数の授業で試行錯誤の末、授業の中でも、簡単な質問にグループで議論して答えさせることを実践して慣れさせ、課外でまとめさせて発表させるときには、授業の最後で、アドバイスを与えながら、全グループに作業を開始させ、その延長として、課外でまとめさせるという方法が成立することを見出した。 教材の整備に時間がかかっているが、25年度前期では、教材は紙ベースで、レポートのみシステムを用いて作成発表をさせる実践を複数の科目で行える態勢にある。25年度の後期からは、既にほぼ完成を見ている支援システムを全面的に導入できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
電磁気学の教材の整備に多くの時間を割く一方、平成25年度前期は、複数の科目で、システムのレポート機能だけを使った実践を行う。後期からは、教材が整備された電磁気学を対象科目として、電子化教材のセマンティックユニットによる検索、提示、プランユニットを利用したプランニングを含めて、レポート作成まで、全面的な支援システムを導入した実践を行う。その中で、システムの改良へのフィードバックも行ってゆく。 実践の評価については、改良へのフィードバックも含めて、研究チームとしての打ち合わせを頻繁にもつ必要がある。 コンテンツとセマンティックユニット、プランユニットを合わせて編集してXHTMLファイルを作成する教材エディタの開発が将来を見据えた研究の推進に欠かせない。 なお、課外の協調作業支援以外に、授業の場において、グループに1台のクライアントを置いて、学生の発表や教員の質問に対して、グループで議論しながらコメントや解答を配信しプロジェクタにも提示して、クラス討論を行う仕組みも加えることとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず、打ち合わせ旅費として一回50,000円~60,000円を必要とするので、4回ほどの打ち合わせで、繰り越し分は使い切り、25年度の請求額500,000円は、システムにとって重要な教材検索エンジンに使うことになったJavaVM による有料のPrologインタープリタの年間ライセンス料として支払うことになる。将来的には、フリーなインタープリタを入手することを目指す。
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