2012 Fiscal Year Research-status Report
ラーニングデザインよるICTを活用した授業デザインの記述と一般化に関する研究
Project/Area Number |
24501211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高井 久美子 帝京大学, 理工学部, 助教 (00527682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 博芳 帝京大学, 理工学部, 准教授 (40240519)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教育工学 / 学習環境 |
Research Abstract |
本研究では,ICTを活用した効果的な授業のデザインを一般化して多くの教育分野で利用可能な状態にすることを目的としている.そのために,今年度はラーニングデザイン規格に着目し,記述の方法やツールを調査検討して評価する計画であった. ラーニングデザインの規格については国際標準規格であるIMSの”Learning Design Information Model,2003”を確認した.また,ラーニングデザインを記述する既存のツールについて調査し,多様な学習の形態に対応可能であるかどうかを検討した.これらの調査と検討の一方で,申請者らがこれまで行った授業実践をモデルケースとして記述し,各ツールによる充分な記述が可能かどうかの評価に用いることとした.モデルケースとして,まず統一モデリング言語(UML)を用いた記述を試みた.授業1回分のモジュールにおける学習者と教員の活動の記述方法を検討し,UMLのアクティビティ図で記述した.また,記述内容の妥当性は,申請者ら以外の教員を加えて検討した.記述の試みにより,ラーニングデザインの記述にあたって考慮すべき項目が明らかになった.たとえば,記述する活動の粒度や,活動相互の関係性の表現方法などである.また,学習目標や学習内容,授業計画といったシラバスを構成する要素の記述についても,UMLのダイアグラムを用いた表現方法を検討した. このように一つのケースについて記述したことにより,今後,各エディタツールによってどのように記述できるかを検討してツールの評価ができると考えられる.また,記述にあたって考慮すべき項目が明らかになったことから,これらの記述方法を定め,他のケースの記述を進めることができるという2点において今年度の成果は意義があるといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,ラーニングデザインを記述する具体的ツールとして,LAMS( Learning Activity Management System )の環境構築をし,ラーニングデザインツールとしての評価を行う予定であった.LAMSは協調学習の活動の流れをオンライン上でデザイン,管理するためのツールであり,LAMSを使って実際に協調学習活動を実施することもできる.一方で,我々は協調学習のほかに講義や個別学習を含めた形で学習活動をデザインしたいので,LAMSでは学習活動の全体を十分に記述することができない可能性がある.そこで,まず記述するデザインについての検討を行い,学習活動の全体の表現を試みたのちにLAMSで記述することとした.まず記述するデザインを検討することにより,個別学習,協調学習,講義を含めたデザインの学習活動のラーニングデザインツールによる記述を評価することも可能と考えた.今年度は記述するデザインを検討を先に行ったためLAMSの環境を構築していない.以上が,環境構築に至らなかった主な理由であり,国内企業においてLAMSの日本語対応版の取り扱いがなくなったことも理由の一つである.環境が未構築のため,ラーニングデザインツールとしての評価もまだ行っていない. 一方で,我々がこれまでに実践した,協調学習と個別学習を組み合わせた授業における学習活動については,統一モデリング言語(UML)を用いてデザインを記述した.記述した内容については,申請者ら以外の教員も加えて評価をした.加えて,授業実践例のサーベイも実施している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,デザインの記述方法の検討と,事例の収集の2点について進めることにより課題に取り組む計画である. (1)我々がこれまでに実践した,オンキャンパスの対面授業にeラーニングの考え方を導入したセルフラーニング型授業の2パターンの授業デザインと,協調学習と個別学習を組み合わせた授業の授業デザインを記述する.具体的方法としては,まずUMLを用いて記述し,記述内容の評価と検討を引き続き行う.また,UML以外の方法でラーニングデザインツールを用いた記述を検討する.ラーニングデザインの記述のツールの一つとしてLAMSの環境を構築し,使用方法を調査する.そのうえで,授業デザインをLAMS上でも記述して,個別学習,協調学習,講義を含むデザインについて学習活動を十分に記述することができるか検討する. (2)国内でeラーニングと対面型の授業を組み合わせた授業やICTを効果的に活用した授業について,実践例のサーベイを行う.サーベイ結果をもとに,実践している教員に研究内容を説明した上で調査への協力を依頼し,許諾を得られた方を尋ねてインタビューを行う.インタビューで得られた情報に基づいて授業実践例をラーニングデザインとして記述し,記述したデザインを授業担当教員に確認していただく.授業実践例の収集と記述にあたっては,ラーニングデザインツールを用いた記述方法をあらかじめ検討しておくことが必要となる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラーニングデザインの記述方法の検討においては,当初の実施計画の順序を入れ替え,学習活動の全体の表現を試みたのちにラーニングデザインの記述のための環境構築をすることとしたことから,今年度は予定していた環境構築を行わなかった.そのため,導入を予定していたサーバーの費用分が繰り越しとなっている.次年度には,サーバーを導入して環境構築を行い,生じた繰り越し分はこれにあてる予定である. 一方,授業実践例の調査としては,国内の教員を尋ねてインタビューを実施し,授業に関する情報を得て授業デザインを記述することを計画している.文献等によるサーベイでは授業デザインを記述するのに十分な情報を得ることは難しいため,インタビューのように詳細な情報を得る方法が必要となる.インタビューのための旅費及び謝金として当初の計画通りに使用する予定である.
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