2012 Fiscal Year Research-status Report
学習環境の減災と継続性確保のための大学間プライベートクラウド連携機構の構築
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24501229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
戸川 聡 四国大学, 経営情報学部, 准教授 (20399166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金西 計英 徳島大学, 大学開放実践センター, 教授 (80204577)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プライベートクラウド連携 / 情報システム減災 / 危機管理 / システム仮想化 / 分散システム |
Research Abstract |
本研究では,大学間プライベートクラウド相互連携における教育支援システムの減災フレームワーク確立を目指している.災害に対する教育支援システムの保全は喫緊の課題である.特に四国を拠点とする我々は,南海地震への対策を進めておかねばならない.今日の大学における教学活動は,教務情報システムやLMS等の教育支援システムの存在なくして運営は困難であり,減災も視野に入れた災害対策が必要である.これら教育支援システムの減災は,単体の大学だけで対応するには負荷が大きく,また効果も少ないと考えられる.そこで本研究では,大学コンソーシアムを前提としたシステム間連携,特に,インタークラウド連携を前提として,教育支援システムの減災フレームワークを実践的に実証することを目指す. 本年度は,一年目として各種プライベートクラウド構築フレームワークの調査をおこなった.2013年現在,オープンソースベース,商用ベースを問わず,多くのプライベートクラウドフレームワークが利用可能であり,これらのフレームワークは,単体組織として既に利活用されていることが整理できた.加えて,分散ストレージに関する調査をおこなった.これに関しても,商用/非商用を問わず,多くのプロダクトが利用可能であることがわかった. これらのサーベイを通し,インタークラウド環境を想定したプロトタイプシステムを設計・実装し,実証実験をおこなった.これは,単体組織において仮想的に複数組織でのクラウド間連携を実装したものである.これにより,インタークラウド間連携におけるプロダクト信頼性と問題点を明らかにできた. 今後,設計した減災フレームワークに対し,明らかとなった問題点をフィードバックする.これにより,フレームワークとプロトタイプシステムの熟成をすすめる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画で示した「(1)データ分散配置機構構築」において,複数プロダクトを適用した分散ストレージシステムを設計・実装した.また,商用/非商用プロダクトを問わず,各分散ストレージシステムの特性を明らかにし,我々が目指す教育支援システムの減災フレームワークに適切な分散ストレージシステムの選定において,一定の知見を得ることができた.「(2)仮想システム配置機構構築」においても,商用/非商用を問わず,複数のプロダクトを適用した仮想システム分散配置プロトタイプシステムを設計・構築した.これにより,各仮想システム構築環境の特性を把握でき,我々が目指す教育支援システムの減災フレームワーク構築に適切な仮想システム分散配置機構の設計において,適切なプロダクト選定に必要な一定の知見を得ることができた.「(3)動的名前空間管理機構構築」において,リバースプロキシシステムと名前解決機構の連携を前提としたプロトタイプシステムを設計・実装し,その有効性について一定の知見を得つつある. これまで述べた各サブシステムについて,各々の機能検証は概ね終了しつつあり,その有効性検証と課題洗い出しを含めた一定の知見が獲得できている.これを踏まえた教育支援システム減災フレームワークの設計に着手し,そのプロトタイプ実装も構築している.また,当該プロトタイプシステムを用いたプレ実験にも着手し,現設計におけるフレームワークの課題も把握しつつある. これらの成果および課題は,国際会議1本として採録決定済であり,成果発表の面でも一定の成果を残している.以上の理由から,本研究計画は,概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
達成度における自己点検評価で示したとおり,データ分散配置機構,仮想システム配置機構,動的名前空間管理機構の各サブシステムを構成するプロダクト評価と課題洗い出しは完了している.また,インタークラウド連携による減災フレームワークの設計に基づいたプロトタイプシステム構築も実施し,単一組織を対象とした効果検証と課題洗い出しも完了している.これらの成果を踏まえ,平成25年度は次の課題に取り組む. 1)OpenStackフレームワークなどによるプライベートクラウドオーケストレーション環境の構築と評価.2)前年度洗い出した課題解決とシステム減災フレームワーク設計へのフィードバック.3)フィードバック後のシステム減災フレームワークによるプロトタイプシステムの再実装と,複数拠点を対象とした実践的評価.4)研究成果公開と議論によるシステム減災フレームワークの熟成.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
再設計したシステム減災フレームワークの有効性検証のためプロトタイプシステム再実装をおこなう.これは,平成24年度に構築したものを拡張し,複数組織を対象として実証実験の規模拡大を目指す.これによりシステム減災フレームワークの実践的検証をおこなう.このためプライベートクラウドを構成する物理サーバの増強が必要となる.まずはこれらの調達をおこなう.加えて複数組織をVPN接続するため,VPN対応ルータを調達する.これは単なるブロードバンドルータではなく,VPN回線上でフルメッシュパスを生成可能なGREに対応する必要がある.このためGRE対応ルータの調達をおこなう.これらの実証実験設備増強により,システム減災フレームワークの実践的検証を推進する. 実践的な実証実験を踏まえ,結果検証と課題洗い出しをおこなう.得られた課題と成果は国内外を問わず積極的に成果発表をおこなう.これら成果発表に必要な旅費等を適切に使用する予定である.加えて関係研究者との打合せのため,必要な旅費等を適切に使用する.
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