2015 Fiscal Year Annual Research Report
原発震災で問われた「発表ジャーナリズムの限界」の検証・克服をめざす基礎研究
Project/Area Number |
24501245
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
林 衛 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (60432118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 美帆 北海道大学, 学内共同利用施設等, その他 (80422020)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 批判的思考力 / 大川小学校 / 科学リテラシー / 発揮と抑制 / 比例原則 / 市民社会 / 主権者の政治的責任 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
報道をする際に,何を目的としているのか,目的は誰のため,何のためなのか,その目的に照らして合理的な報道であるのか,比例原則にもとづいた報道の目的論の重要性がうかびあがってきた。報道,科学ジャーナリズムだけでなく理科教育,科学コミュニケーション全般にかかわる問題である。 予防原則の重要性が語られるが,目的の妥当性の議論を欠いた予防措置はしばしば人権侵害をもたらしている。科学論争は,ときに議論の背景にある目的のちがいの存在を覆い隠してしまう。ジャーナリズムがその構造に無自覚であると,予防原則によってある目的を達成する際の人権侵害に加担する結果となってしまう。 そこから脱却するためには,科学論争からその背景となる目的のちがいを浮かび上がらせ,目的の再興と再共有の道筋をつけるための事実共有,問題提起が必要であるが,そこまでの踏み込みにいたらないのが,ジャーナリズムの限界(到達点)だといえる。 有権者(市民)がそれを代行・代表する政府や為政者の行為にたいして政治的責任をとれるようにするため,よりよい政策,社会の実現のために市民が知恵をだしあえるようにするためにも,知る権利の確立を第一の任務とジャーナリズムや科学コミュニケーションにかかわる人びとが役割を任ずる必要がある。この認識の共有こそが,突破口になる。公教育もそのために改善される余地が大きい。
以上の考察がケーススタディをもとに進められた。
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Research Products
(12 results)