2013 Fiscal Year Research-status Report
自然系博物館における「動く展示」・「動いて見る展示」の開発と新たな評価方法の試み
Project/Area Number |
24501279
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
大島 光春 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 主任学芸員 (40260343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広谷 浩子 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (10205099)
石浜 佐栄子 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (60416047)
田口 公則 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (70300960)
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Keywords | 博物館展示 / 子ども / 動的展示 |
Research Abstract |
自然史博物館にふさわしい“動きのある展示”を開発し、それをさらに有効活用できるプログラムを試行する。“動きのある展示”とは、動く展示装置と、見学者が自ら動く展示を指し、見学者の心をも動かすことを目指す。今年度も前年度から引き続き、情報収集と既存展示の調査を行い、また、いくつか“動きのある展示”の実践を行った。 今年度の博物館実習の一環として、5人の実習生と一緒に、「生命の歴史」をテーマにした影絵を制作した。鉄道の玩具とLEDの小型光源、化石生物の模型を主な材料として、絵コンテの制作から始めた。生命史における出現、絶滅などのイベントをどのように影絵で表現するか、どのようにレイアウトすれば、影がうまく見えるか、効果的な影の動きはどういう物か等を検討し、制作された。完成した展示は当館常設展示室の一角で披露され、入館者の関心を引いた。電源や耐久性など検討課題は多いが、導入できる可能性はあると考えている。 2014年3月に行われた生命の星・地球博物館の開館記念行事「ミューズ・フェスタ2014」では凸版印刷株式会社の協力を得て、同社が開発した「V×Rダイナソー」を使った恐竜ティラノサウルスやトリケラトプスの解説を大スクリーンで行った。また、同時に展示室では恐竜の全身骨格の近くで4台のタブレット端末を用いて、AR技術を採用した「V×Rダイナソー」を入館者に体験してもらった。その場でアンケートを行ったところ、恐竜骨格とCGとの組み合わせは2位で、1位は動く恐竜模型だった。おもに子どもにとって、“恐竜が動く”ということのインパクトの強さは認めざるをえない。しかし、博物館を運営する側から見れば、設置の価格、研究が進むことによる姿や動きの修正作業、メンテナンス費用まで考えれば、骨格標本とGCとの組み合わせは、検討に値する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査のための日程が十分にとれなかったり、実践の機会を十分には作れなかったりしたことが重なった。また、一昨年に比べ、ミーティングの回数も減っていた。今後は研究の進捗状況や課題を共有し、解決に向けた方向性を確認し合う機会をより多く作ることが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も既存の展示に関する調査は進めていく。さらに、2014年末から恐竜や化石の教育用標本を用いた企画展を開催することになった。そこで、これまでに試作した展示や、試行してきたプログラムをこの企画展に導入し、試行と成果の発表を兼ねる計画である。また、入館者の行動や反応による、展示の評価方法についても、同時に実践する計画である。 恐竜など古生物をテーマとすると、これまで実践してきた「水」、「砂」、「生物」という生物学分野と地球科学分野をうまく融合させることができる。これに照明や展示物としての光と影を用いた場合の演出効果なども検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外を含めた調査旅行を数度実施する予定だったが、日程が合わなかったり、十分にとれなかったりして、大半が実施できなかった。また、実施予定だった展示の試行も、一部実施できない物があった。 海外を含めた調査旅行を実施する。また、当初成果発表と考えた展示に比べて、大規模な企画展を発表の場とすることになったので、試行あるいは発表できる展示の規模も数も日数も大幅に増えている。また、企画展ではインタープリターを配置したワークショップなども実施する計画である。
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Research Products
(6 results)