2014 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼流域における沿岸エコトーンの景観生態学的特性把握と環境資源管理に関する研究
Project/Area Number |
24501295
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
秋山 道雄 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (00231845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 雄一 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (00401307)
塚本 礼仁 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (10315278)
浜端 悦治 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (40238077)
横山 秀司 九州産業大学, 商学部, 教授 (60240222)
長谷川 直子(石黒直子) お茶の水女子大学, その他部局等, 准教授 (60433231)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 沿岸域 / 景観生態学 / 環境資源 / 資源管理 / 沿岸エコトーン / レジリエンス / 生物多様性 / 琵琶湖 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に手掛けた琵琶湖北湖北西湖岸の調査を継続し、当地域の景観生態学図を作成した。 また、昨年度に実施できなかった霞ヶ浦の現地調査を実施した。現地の事情に詳しい研究者から、霞ヶ浦流域におけるこれまでの経緯、沿岸域で実施された「自然再生」事業、研究者や行政の動向等について説明を受け、琵琶湖流域の事例との比較をもとに意見を交換した。その後、霞ヶ浦沿岸域全体を回り、要所要所では関係者からヒアリングを行って、現況を把握した。 3ヵ年における研究を通じて、以下のような事項が明らかになった。①湖水中の沿岸帯に分布する沈水植物群落(水草)は、湖沼生態系のバランス維持に重要な役割を果たしているが、本研究では沈水植物群落の生態と湖水の流動に焦点をあてて、近年、琵琶湖で沈水植物群落が急速に回復してきたメカニズムを把握した。②琵琶湖沿岸域を代表する4類型の湖岸のうち、すでに2つについては本研究以前に景観生態学図を作成していたが、残る2タイプの景観生態学図を作成した。これによって、景観生態学図をもとにした琵琶湖沿岸域の環境特性を診断することが可能となった。③これまで沿岸域の地域資源であった「魚」と「ヨシ」を対象に生業を営み、かつそれを通じて沿岸域管理に関わってきた淡水漁業とヨシ加工業の実態を把握した。さらに、衰退化傾向にあるこれら両業種が、今後、展開し得る方向性を検討した。④集水域の代表的な土地利用である水田(沿岸域に隣接して、沿岸域と生態的に強い関連をもつ)をとりあげ、湿地生態系を維持する農業用水の機能と非灌漑期における環境用水の役割を把握した。 本研究によって、景観生態学が湖沼流域の研究に多面的に寄与し得ることが明らかとなった。また本研究の成果は、今後の沿岸域管理の在り方を検討する際に必要となる知見を提供し得る
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