2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24510019
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
宮崎 あかね 日本女子大学, 理学部, 教授 (80293067)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 吸着 / 表面錯形成 / 収着 / アルミナ / 27Al MAS NMR / 113Cd MAS NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、固相表面に対する重金属イオンの「吸着」が固相内部に取り込まれる「収着」へと移行する過程を解明することを目的としている。土壌粒子表面と重金属イオンとの間の固・液界面反応を想定し、水酸化アルミニウムゲルに対するZn2+及びCd2+イオンの吸着を扱った。水酸化アルミニウムゲル表面での亜鉛イオンの収着生成物のモデルとしてZn/Al比の異なるアルミニウムイオンと亜鉛イオンの共沈物を合成し、27Al MAS NMRによるAlの状態分析を行った結果、収着生成物はZn/Al比が低い亜鉛イオンとアルミニウムイオンの共沈物と考えることができた。 一方、同様な現象をZnと同族のCdで検証し、27Al のみでなく113CdのMAS NMRを測定した結果、Cdについても収着現象が生じている可能性が示された。しかしながら、113CdのMAS NMRについては幾つかの特徴的なピークを観察することができたものの、最終的な化学状態の同定まではたどり着かなかった。天然における113Cdの同位体存在比が12%に過ぎないこと、Znに比べてCdの水酸化アルミニウムに対する吸着量が低いことなどが解析を困難にした。さらに、EXAFS、XRDなどの補完的な方法も用いたが、それらの結果が互いに矛盾するなど、Cdの系はZnの系とはかなり異なっていることも明らかになった。Cd2+はZn2+に比べてイオン半径が大きく、Al3+と同型置換を起こしにくいためであろうと考えている。以上のことは、吸着から収着へと移行する過程は収執着生成物の安定性に支配されている可能性を示唆していると思われる。Cdは環境中での動きが注目される元素であるだけに、今後のさらなる研究が急務である。
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