2013 Fiscal Year Research-status Report
瓦礫飛散粉じん中有害汚染物質濃度の多点モニタリングと健康リスク度の可視化
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24510030
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
齊藤 貢 岩手大学, 工学部, 准教授 (20271843)
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Keywords | 多点モニタリング / ミクロ繊維シート / 多環芳香族炭化水素 / 重金属 / 健康リスク |
Research Abstract |
本研究は、東日本大震災がもたらした震災瓦礫処理に伴う飛散粉じんおよび有害汚染物質濃度の多点モニタリングと健康リスク度を可視化することをテーマに進めている。 平成25年度は、1.オリジナルの多点モニタリング手法である「ミクロ繊維シート」による飛散粉じん量濃度マップの作成、2.多環芳香族炭化水素類(ベンゾ(a)ピレン, ベンゾ(k)フルオランテン,ベンゾ(g,h,i)ペリレン)や重金属類(Cr,Pb)の分析と濃度マップの作成、3.発がんリスクに基づく各物質のリスク度評価を行った。 1.の飛散粉じん濃度マップより、瓦礫の破砕・選別処理付近および瓦礫運搬車輌の走行路近傍で高い値を示していることが確認された。また、平成24年の秋にやや高濃度が確認され飛散粉じんの影響が危惧された周辺の居住地域は、平成25年度においては低濃度で推移していることが確認された。2.の多環芳香族炭化水素類の濃度は、夏季に低く冬季に高くなるような一般的な季節変動はみられず、処理作業が最も活発であった夏季に高濃度を示し、また瓦礫運搬車輌の走行が多い地点で高くなるなど、重機の排ガスに起因していると考察された。一方、重金属類の濃度は、平成25年5、7月に瓦礫集積地内でCr,Pb濃度がやや高い値を示したものの、居住地域ではモニタリング実施月の全てにおいて低い値であった。3.のリスク度評価は、ベンゾ(a)ピレンについては、WHOの吸入ユニットリスクを基に、重金属類については、WHO(2002)の耐容一週間摂取量を基に評価した結果、健康に対して影響を与えるレベルではないと評価された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の当初の計画では、多環芳香族炭化水素類や重金属類の有害汚染物質ごとの「健康リスク度マップ」と複数の物質のリスクを考慮した「複合的健康リスク度マップ」の作成を行う予定となっていたが、重金属のAsにおいて、機器分析装置の不具合により分析に遅延がでたため、予定した有害汚染物質のマップ化が全て実施するまでにいたらなかった。そのため、複合的な健康リスク度評価が行えず、達成度はやや遅れている。しかし、飛散粉じん量の可視化については、健康影響度指標を用いた視覚的に一般の人にも判断しやすいマップの作成が済んでおり、情報提供する際の準備は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度に実施できなかった有害汚染物質成分の分析と有害汚染物質のマップ化、多環芳香族炭化水素類と重金属類の複合的健康リスク度を評価・マップ化することを計画している。また、本研究のモニタリング対象地域は平成25年度3月末で瓦礫処理作業は終了したが、分別土壌(復興事業に使用される土壌)は残されたままであるため、平成26年度も継続して多点モニタリングを行い、処理終了後の大気環境の回復状況を評価する予定である。 そして、平成24年度から26年度の3年間の継続モニタリング結果を踏まえて、瓦礫飛散粉じん状況の総括を行い、GISを利用したwebによるデータの配信を試みる。さらに、配信した情報の“必要性”や“わかりやすさ”などについて瓦礫処理場近傍の地域住民や一般の方々にアンケートを実施し、環境情報配信システムの構築を行う。
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Research Products
(5 results)