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2012 Fiscal Year Research-status Report

ビスフェノールのバイオセンシングシステムとバイオレメディエーション技術の創成

Research Project

Project/Area Number 24510091
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionUtsunomiya University

Principal Investigator

荷方 稔之  宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30272222)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywordschemotaxis / Stenotrophomonas / maltophilia
Research Abstract

S. maltophilia は内分泌撹乱性が疑われているビスフェノールAをはじめ,クロロフェノールやクロロホルムなど様々な化合物に走性を示す細菌である。本細菌が有する走化性センサー遺伝子を網羅的に解析することにより,様々な化合物をセンシングする検出システムの創成や,新規バイオレメディエーション技術の開発が期待できる。S. maltophilia JCM1975は12の走化性センサー候補遺伝子を有しており,平成24年度はこれらのなかからビスフェノールAをセンシングする走性センサー遺伝子の探索とその機能解析を行うことを目標とした。
まず本細菌が有する走性センサー候補遺伝子mcp6について詳細な解析を行った。既にクローニングしているmcp6の中央付近に位置するPstI部位にゲンタマイシン耐性遺伝子を挿入した欠損変異プラスミドを構築し,エレクトロポレーションによりS. maltophilia JCM1975に導入し,ゲンタマイシン耐性株をスクリーニングすることで2回相同性組換えによるmcp6の遺伝子破壊株を取得することに成功した。そこでこのmcp6遺伝子破壊株について走化性を測定し野生株と比較した。その結果ビスフェノールAに対しては両者の応答に差異は認められなかったが,p-クロロフェノール,m-クロロフェノールに対する破壊株の走性応答が野生株のそれと比べて減少していたことから,mcp6はこれらの化学物質のセンシングに関与していることが明らかとなった。さらに破壊株のクロロホルムに対する応答は全く観察されなかったことから,クロロホルムのセンシングにはmcp6単独の関与が示唆された。
以上より本年度の目標であるビスフェノールAの走性センサー遺伝子の単離には至らなかったが,今後は他の走性センサー遺伝子を順次解析することでビスフェノールA走性センサー遺伝子の単離を目指していく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成24年度に目標としていたビスフェノールAのセンシングに関与する遺伝子の単離とその解析には至っていない。その理由としては2回相同組換えを利用した遺伝子破壊株が取得されにくかったことが挙げられる。走性センサータンパク質のC末側には細胞内シグナル伝達に関与するドメインが存在するが,これはほぼすべてのセンサータンパク質に高度に保存されているため,相同組換えが起こる際に染色体内に存在する他の走性センサー遺伝子の相同的なシグナル伝達ドメインと組換えが起こりやすく,目的とした走性センサー候補遺伝子の破壊株が得られにくかったことが原因と考えられる。しかしながら,mcp6のセンサー遺伝子が本細菌において,クロロフェノールおよびクロロホルムのセンシングに関与するという新たな知見が得られたことは,走性センサー遺伝子の網羅的解析が一歩進んだことを示していると考えている。

Strategy for Future Research Activity

走性センサー候補遺伝子の遺伝子破壊株の作成とその機能解析を引き続き行い,ビスフェノールAのセンシングに関与する走性センサー遺伝子の単離と機能解析を行う。その際にこれまで行っていた2回相同組換えを用いる方法に代えて,1回相同組換えを用いて破壊株の取得を試みる。この方法では用いる欠損変異プラスミドが染色体DNA内に挿入されることで目的の遺伝子が破壊される。これは2回組換えより確率的に起こりやすいため,より効率的な破壊株の取得が期待できる。また,走性センサー候補遺伝子をビスフェノールAに走性を示さない他細菌(緑膿菌など)において発現させ,ビスフェノールAに対する走化性を調査していく方策も同時に行っていく予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

遺伝子破壊株の取得が予定より遅れたため,それにともない遺伝子等の解析に用いる予定の冷却卓上微量高速遠心機および振とう機の購入も予定より後倒しとなったが,本機器の購入は平成25年3月に既に完了(冷却卓上微量高速遠心機:420千円,振とう機:229千円)しており,ビスフェノールAセンサー遺伝子の単離,解析に向けて継続して本研究の遂行のために効果的に使用している。

  • Research Products

    (4 results)

All Other

All Presentation (3 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] Stenotrophomonas maltophiliaのクロロホルムに対する走性応答

    • Author(s)
      荷方稔之, 荒谷一典, 柿井一男
    • Organizer
      日本農芸化学会2013年度大会
    • Place of Presentation
      東北大学川内キャンパス
  • [Presentation] クロロホルムに集積するバクテリアの応答特性

    • Author(s)
      荒谷一典, 荷方稔之, 柿井一男
    • Organizer
      環境バイオテクノロジー学会2012年度大会
    • Place of Presentation
      京都大学宇治キャンパス
  • [Presentation] クロロホルムを感知して集積する細菌の応答特性

    • Author(s)
      荒谷一典, 荷方稔之, 柿井一男
    • Organizer
      第2回宇都宮大学オプト-バイオシンポジウム
    • Place of Presentation
      宇都宮大学オプティクス教育研究センター
  • [Remarks] 宇都宮大学工学部応用化学科水処理化学研究室

    • URL

      http://www.chem.utsunomiya-u.ac.jp/lab-Nov/index.html

URL: 

Published: 2014-07-24  

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