2012 Fiscal Year Research-status Report
中性子共鳴吸収分光法を用いた高効率なマルチポイント同時非破壊内部温度測定法の開発
Project/Area Number |
24510116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加美山 隆 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50233961)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 可視化 / 放射線、X線、粒子線 / 非破壊検査 / 中性子イメージング / 温度測定 |
Research Abstract |
本研究は、中性子共鳴吸収分光器を用いた非破壊・非接触の内部温度測定に関して効率化を図るため、①中性子共鳴吸収分光法によるマルチポイント同時温度測定法の開発および、②S/N比向上を目指したγ線検出器の不均等配置法の検討を行うことを目的としている。平成24年度はこれらの目標を達成するために、研究実施環境を整えるための以下の項目を実施した。①中性子共鳴吸収分光法によるマルチポイント同時温度測定法の開発に関しては、様々な核種に対して共鳴吸収即発γ線スペクトルのシミュレーションを行える環境を検討、整備した。ある分光器から得られる共鳴吸収スペクトルは核データに中性子線源やビームラインの特性などを畳み込むことによって得られるが、本研究では現在REFITという共鳴吸収解析コードが適当であると考えられた。そこで、このコードによりシミュレーションを実施し、Ta等共鳴核種の即発γ線ピーク形状の温度変化についてシミュレートできることが確認できた。また、今後の温度測定用に高温炉を製作した。今回の研究では、精度高く安定した温度の維持が必要であるため、加温の方法をこれまでとは改めて、ガスの伝熱により対象物全体の温度を制御する方式を持つ新しい高温炉とした。②γ線検出器の不均等配置法の検討に関しては、配置を検討するためのシミュレーションコードとして、モンテカルロシミュレーションコードであるPHITSが適当であると考えられ、これによる北海道大学加速器施設の共鳴吸収分光器ビームライン体系の構築を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度終了時点において、ほぼ当初計画通りに研究が進展している。 項目①中性子共鳴吸収分光法によるマルチポイント同時温度測定法の開発に対しては、当初予定の即発γ線スペクトルのシミュレーション環境を整えるとともに、それによる共鳴吸収ピークの温度変化の計算を実施できた。また、中性子測定用の高温炉に関しては、予算上、当初予定の赤外線型から電熱線型に変更せざるを得なかったが、温度の安定性向上を目指した新しい方式のものを製作した。 項目②S/N比向上を目指したγ線検出器の不均等配置法の検討に関しては、北大の測定体系を模擬できるシミュレーションコードの選択と体系構築を予定したが、これに関しても使用実績があるPHITSコードを選択してビームラインの体系構築を実施したので、予定通り進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで予定通りのペースで研究が進捗しており、今後も当初計画に則って進展を図る。本研究で推進している即発γ線型中性子共鳴吸収分光法と方式は異なるものの、透過法を用いた類似の中性子イメージング研究も、北大やJ-PARCで進められており、これらとも密接に連携しながら共鳴吸収分光法による非破壊温度測定法の推進を図る。なお、即発γ線型は、透過型と異なり、線源からのγ線を直接計数することは無いので、S/N比が低いと予想される小型加速器中性子源に適当な方式であると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度未使用額は「中性子測定高温炉」(1,186,500円)に関する分である。設計後、平成24年1月に発注したが、納入が3月となったため、この支払が平成25年度4月となった。平成24年度の未使用金額は、全額平成25年4月にこの支払に充当する。
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