2012 Fiscal Year Research-status Report
顧客の購買行動と店舗戦略を考慮した収益管理についての研究
Project/Area Number |
24510196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
北條 仁志 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70305663)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | モデル化 / 在庫管理 / Nash均衡 / 収益管理 |
Research Abstract |
競合的在庫管理問題という用語は、需要分布が事前に与えられた条件下で需要の再配分を考慮した競合する複数の企業での製品の生産量・発注量に関する合理的な解概念の一つであるナッシュ均衡に関する抽象的な研究を指している。現実問題では、日々の需要を見積もることが難しいこともあり、消費者も意思決定者の1人であるため、需要は価格や生産量・発注量にも依存する。そこで、本研究では、複数の競合状態にある供給者における販売戦略上の問題に対して消費者の購買行動を考慮した競合的在庫問題に対する数理的モデルを構築し、供給者および消費者の目的関数上での最適化基準の下で均衡した戦略を導出し、様々な仮定において各々の意思決定への影響について分析することを目的とする。 平成24年度には、現実世界の問題にモデルを適合させるためにはどのような仮定が必要であるかについて検討した。二店舗の価格情報が非対称であり、n人の顧客は参照価格、移動距離に伴うコストと購買に伴う効用により購買決定を行なう仮定の下での数理モデルに関する研究を行ない、その成果を日本オペレーションズ・リサーチ学会の研究部会や発表会、さらにはアメリカにて開催されたINFORMS 2012 Annual Meetingでも発表した。これらの発表により本研究の妥当性を確認し、さらなる問題点の洗い出しを図った。また、損失嫌悪である供給者のモデルを提案し、リスク中立である供給者モデルとの比較を行った。効用関数の性質上、リスク中立のモデルにおける効用関数が複雑でない限り、損失嫌悪のモデルでも供給者の決定に関して同等の結果が得られることがわかった。その成果も京都大学数理解析研究所の共同研究集会にて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の主流となる消費者行動を意思決定として取り入れた競合的在庫問題に欠かせない仮定についての吟味を1年間かけてじっくり行ってきた。時間軸を考慮に入れると、商品を購入できるか否かを確定する顧客の店舗への到着順序が顧客の意思決定に影響を与える。現在は、離散型モデルにおいて一様な確率変数として扱っているため、連続型モデルについても比較的容易に分析が行えている。ただし、平成24年度にはナッシュ均衡についての分析のみに留まっているため、シュタッケルベルグ均衡についての解析を残している。これらの研究は平成25年度に引き継いでいく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度にやり残した研究としてシュタッケルベルグ均衡に関するモデルを提案し、消費者行動と企業戦略の関係について分析する。平成25年度は消費者の仮定に特化したモデル化を中心として行い、供給者および消費者の目的関数上での最適化基準の下で均衡した戦略の導出を行い、意思決定者の振る舞いを把握する。消費者側の仮定として需要量、需要発生時刻、購入先の制限などを想定する。 平成24年度と同じく国際会議や国内の学会において研究結果を発表することにより、関連する研究者と議論を盛んに行い、研究内容のさらなるレベル向上につなげる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)