2014 Fiscal Year Annual Research Report
環上に四級不斉炭素が密集した天然物の全合成研究と機能解明
Project/Area Number |
24510290
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉村 文彦 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70374189)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 四級不斉炭素 / ブラシリカルジンA / 共役付加反応 / 立体選択的合成 / テルペン |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素環上に四級不斉炭素が密集した天然物には興味深い生物活性を有するものが多く知られており、分子レベルでの機能解明のため、天然物とその類縁体の化学合成による供給が切望されている。しかし、これらの化合物の化学合成は精密合成化学が発展した今なお、大きく立ち後れている。 本研究では、四級不斉炭素が密集した天然物の効率的な合成方法論の創出を目的として、ブラシリカルジンAとアンドラスチンCの化学合成に取り組んだ。 ブラシリカルジンAについては、昨年度合成が完了した光学活性なABC環部に対して、側鎖のβ-ヒドロキシアミノ酸部の導入法とアグリコンへの変換を検討した。当初計画していた当研究室で開発された2,3-エポキシアルコールのC2位選択的アジド置換反応を基軸とするルートでは、アジド置換は立体選択的に進行するものの、続くアジド基共存下での一級アルコールのカルボン酸への酸化が実現できず、このルートを断念した。別法を検討の結果、柴崎らにより報告された触媒的不斉エポキシ化反応とエポキシ不飽和エステルの立体選択的アジド置換反応を組み合わせた方法論を用いることで、高立体選択的にβ-ヒドロキシアミノ酸部を構築できた。その後、保護基の調整を経てアグリコンメチルエステルの生成が確認できた。 一方、アンドラスチンCの合成研究では、モデル化合物を用いて、二連続四級炭素を含むCD環部構築法の開発に取り組んだ。まず、シアノアニオンの分子内共役付加反応を利用して、C8位四級不斉炭素を構築しつつC環を形成した。次いでセミピナコール転位によるC14位四級炭素の構築を経て、ニトリルオキシドの[3+2]付加環化によりD環を形成することで、立体選択的にCD環部を構築できることが明らかになった。
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