2015 Fiscal Year Annual Research Report
海産外来寄生虫のインパクトーエビヤドリムシ科甲殻類を例に
Project/Area Number |
24510328
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
伊谷 行 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (10403867)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 外来種 / 寄生 / エビヤドリムシ / アナジャコ / スナモグリ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、北米西海岸ではアナジャコ類が激減して、その共生者も絶滅に瀕しているが、その原因はアジアからの外来寄生者であるエビヤドリムシ科甲殻類Orthione griffenis の影響であることが明らかになってきた。様々なエビヤドリムシの種を用いて生活史を明らかにすることにより、なぜこの種が侵略的外来種となったかを明らかにすることが本研究の目的である。昨年度までの結果でアナジャコ類、スナモグリ類に寄生するエビヤドリムシ類では、クリプトニスクス幼生が宿主の小型個体に着底して共に成長することが明らかになっているが、例外的に、大型の宿主個体にエビヤドリムシの小型個体が寄生している例も見られた。このような事例が、O. griffenisのように大型宿主個体へエビヤドリムシが着底したのか否かを区別するため、エビヤドリムシ類の生活史において、メスが死亡した場合に、残されたオスが性転換を行い新たなオスを迎えるかどうかを検証した。高知県浦ノ内湾で採集した5種172個体のエビヤドリムシ類で、メスを取り除きオスを鰓室に残す実験を行った結果、全ての種の41個体でオスの体長と体幅が肥大化した。特に、例数の多いIone cornutaとProgebiophilus sp.では、肥大化した個体が、移植後徐々に雌の形態に体を変態させ、1か月ほどで通常の雌と変わらない形態になり、性転換をしたと考えられた。また、実験個体を浦ノ内湾に垂下飼育したところ、新たにオスの着生が認められた。性転換中の個体は、形態的にメスと区別が可能であり、野外のサンプルで大型の宿主個体にエビヤドリムシの小型個体が寄生している事例の多くは、この性転換現象のためであることが確認された。すなわち、O. griffenisのような大型の宿主個体に着底する生活史特性は、エビ類を宿主とするエビヤドリムシ類では極めて特異であることが示された。
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[Journal Article] On a new species of parasitic barnacle (Crustacea: Rhizocephala), Sacculina shiinoi sp. nov., parasitizing Japanese mud shrimps Upogebia spp. (Decapoda: Thalassinidea: Upogebiidae), including a description of a novel morphological structure in the Rhizocephala2016
Author(s)
Lutzen, J., Itani, G., Jespersen, A., Hong, J-S., Rees, D. and Glenner, H.
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Journal Title
Zoological Science
Volume: 33
Pages: 204-212
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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