2013 Fiscal Year Research-status Report
伊豆諸島の甲虫類の種および遺伝的多様性の解明とホットスポット推定
Project/Area Number |
24510333
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小島 弘昭 東京農業大学, 農学部, 教授 (80332849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒谷 邦雄 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (10263138)
吉冨 博之 愛媛大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10542665)
野村 周平 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, その他 (80228361)
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Keywords | 昆虫 / 分類学 / 生物多様性 / 保全生物学 / 系統生物地理 / 分子系統解析 |
Research Abstract |
伊豆諸島の甲虫相の実態把握(種レベルでのインベントリー調査):昨年度とは異なる時期の調査を行い,各島々のゾウムシ類を中心とした植食性甲虫相,土壌性甲虫相,水生甲虫相を調査し,多数の伊豆諸島新記録種を含む,各島新記録種を発見し,学術雑誌に記録・報告した.これまでの調査により,伊豆諸島におけるこれら甲虫類の解明度が飛躍的に上昇した. 甲虫相の生物地理的解析:ある程度のインベントリー調査が完了していると考えられるゾウムシ上科甲虫を対象に,伊豆諸島の生物地理的解析を行った.その結果,伊豆諸島のゾウムシ相は大きく,北伊豆諸島と南伊豆諸島で分けられ,北伊豆諸島ほど本州要素が強く,南伊豆諸島では本州要素の割合が減少し,琉球要素の割合が高まることが明らかとなった.また,北伊豆諸島の中でも,利島は例外的に琉球要素の割合が高い島と判断された.島間の種数の比較では,本土から遠く離れた八丈島で種数が最も多く,次いで御蔵島,三宅島と続く.本土からの距離が近く,面積が最大の伊豆大島より,本土からより離れた南伊豆諸島の島々で種数が多いと言う結果となった.ただし,八丈島は人為的移入種が他の島に比べとくに多く存在し,その影響は無視できない.島間での多様度指数ならびに均衡度指数の比較では,北伊豆諸島の大島と利島,南伊豆諸島の三宅島と御蔵島,八丈島で高い値となった.種数ー面積関係を調べた結果,これまでの島嶼生態学で知られる一般理論が伊豆諸島のゾウムシ類についても当てはまり,面積が大きいほど種数が多いと言う結果が得られた.伊豆諸島の島々のうち,御蔵島と利島が回帰直線より上方に位置し,これらの島での種多様性が高いことが示唆された.これらの島で種多様性が高い要因の1つとして,最終火山活動後の時間が他の島に比べて長いことが考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究対象分類群について,有人の伊豆諸島全島の調査が異なる時期にほぼ完了しているため.また,甲虫相の解明という種レベルのインベントリー調査に加え,当初の予定通り,2年目で,一部の分類群において,伊豆諸島の生物地理的解析にまで着手できているため.さらに,3年目に計画している遺伝子レベルでの解析のためのサンプリング収集がほぼ完了し,予備的解析に着手できているため. 昨年末,研究者のみならず一般市民向けの伊豆諸島の昆虫研究の現状を紹介する公開講座を開催した.
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Strategy for Future Research Activity |
各研究対象分類群について目録を作成するためのデータ入力作業を進める必要がある. 2年目までに収集したサンプルと,追加調査によるサンプルを含めた分子系統解析を推進する必要がある. 上記結果をあわせて伊豆諸島における昆虫,とくに甲虫資源から見た保全ならびに生物多様性上重要な地域であるホットスポットの推定を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海況悪化にともなう船の欠航による日程変更が生じたため 今年度旅費として使用予定
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Research Products
(19 results)