2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24510362
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
安武 留美 甲南大学, 文学部, 教授 (10351751)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究は、20世紀初め、ハワイに誕生した汎太平洋婦人協会(PPWA)を中心とする環太平洋女性ネットワークが、アメリカのグローバル化、台頭する人種および地域ナショナリズムとどのように関わっていたのかを解明するものである。ハワイの白人女性の主導により発足したPPWAの、アジア系およびポリネシア系女性を積極的に受け入れようとする内包的な姿勢に注目し、ハワイでの白人、先住民、アジア系女性の関係およびハワイとアメリカ本土・アジア諸国との関係を明らかにしながら、アメリカのグローバル化をジェンダーの視点から考察する。 平成24年度は、1930年にPPWAを誕生させたハワイ内の歴史的文脈の理解に努めた。王国、共和国、アメリカ合衆国の準州とハワイのアメリカ化に、先住民女性、アメリカ本土及びハワイの白人女性、およびアジア人(主に日本人)女性たちがどのように関わってきたのか、2次文献の解読および1次文献収集・解読を行った。 その結果、1820年のアメリカ人男女宣教師の到来から徐々にアメリカ化したハワイのジェンダー規範がハワイ王国の消滅とどのように関わっていたのか、また王制転覆後に活発化した宣教師の子孫であるハワイのエリート白人女性たちの社会活動が共和制となったハワイ社会の人種関係にどのように作用していたかの概要を把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、収集した文献の解読・分析を行うとともに、夏休みを利用してハワイ、ホノルル市を訪れ、ハワイ州立公文書館、ハワイ州立図書館、ハワイ大学マノア校図書館で1次資料を収集し、本研究の日系女性キーパーソンの子孫へのオラルインタビューを行った。その結果、王制転覆後に活発化した宣教師の子孫であるハワイのエリート白人女性たちの社会活動に関する貴重な史料を発掘することができた。また、オラルインタビューをおこなった女性からも貴重な1次資料を提供していただき、王制転覆から20世紀初めまでのハワイ社会の人種ポリティクスに関して、私なりの解釈を構築することができた。 各エスニックグループのキーパーソンに関する研究については、始めたばかりの状態であるが、日系女性のキーパーソンに関して大きな収穫を得ることができた。 ホノルル訪問はハワイ大学の休暇中となってしまった。そのため、ハワイ大学女性学部のメンバーにはまだ島外で研究中の人も多く、女性学部の研究会も休止中、従ってハワイ大学でのこれまでの研究成果の発表は叶わなかった。その代わりに、研究成果の一部を、平成25年度4月に米国サンフランシスコで行われるアメリカ歴史家協会(Organization of American Historians)で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
ハワイ内の歴史的文脈と人種間ポリティクスに関する研究はかなりの成果を上げることが出来た。平成25年度は、19世紀終わりから20世紀始めにかけてのハワイと米国本土、更には環太平洋諸国(日本)との関係を明らかにしながら、PPWA発足の環太平洋における歴史的文脈を明らかにしたい。 さらに平成26年度は、第一次世界大戦後高揚した女性運動の国際化の波の中で、PPWA の主催した女性会議がどのような意味を持つのか、環太平洋地域でのアメリカのグローバル化とどのように関わっているのかを解明していきたい。 また、平成24年度に叶わなかったハワイ大学女性学部の研究会での発表を実現したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度未使用額183,128円は1次2次資料の購入費として使用する計画である。 平成25年度研究費は、4月、米国サンフランシスコで行われるアメリカ歴史家協会(Organization of American Historians)でこれまでの成果の一部を発表するための旅費・滞在費として約25万円、夏または冬の休暇を利用して東海岸(または西海岸)で実施する予定の調査・資料収集のための費用として約45万円の使用を予定している。
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