2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 康雄 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60237477)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 科学哲学 / 多元的言語論 / メレオロジー / 四次元主義 / 指標主義 / 自己概念 / 数学の哲学 / 規範体系 |
Research Abstract |
平成24年度の研究においてはまず、科学基礎論学会大会で「規範体系論理学の特徴づけ」と題した口頭発表を行うとともに(6月17日)、「規範体系論理学を基盤にした言語行為の分析」と題した日本認知学会大会でのポスター発表を行った(CD-ROM版の論文集に所収、12月13日)。さらに、指標的表現と四次元メレオロジーとの関係について国際会議(第1回東アジア現代哲学会議)で「Four-Dimensional Mereology and Agents in the Universe」と題した口頭発表(招待発表、9月7日)をするとともに、この構想を日本科学哲学会での「四次元主義と主張文脈」と題した口頭発表でさらに深め(11月10日)、最終的には、『示される自己 - 自己概念の哲学的分析』(単著)を執筆し、出版した(242ページ、12月25日)。さらに、日本科学哲学会大会のワークショップ「生命と心のメレオロジー:歴史と現在」の司会として「四次元主義の立場からのコメント」と題した短時間での発表を行い(11月11日)、第二回東アジア科学哲学ワークショップでは「Reality and Fiction in a Technological World」と題した口頭発表を行った(11月12日)。 また、工学研究の現場で哲学がはたしうる役割について考察した論文「現場から出発する哲学」(戸田山・美濃・出口(編)『これが応用哲学だ!』、4月)を執筆した。そして、私が提案している多元的言語論に基づいた科学哲学の考えを数学研究の記述に適用した査読つき論文「〈数学の哲学〉における多元的視点」(『科学基礎論研究』39巻2号)を執筆した。さらに、日本を代表する哲学者の論文集を批評した「書評「大出晁 著・野本和幸 編・解題『大出晁 哲学論文集』(慶應義塾大学出版会, 2010年刊)」」(『科学哲学』45巻1号)を著した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「多元的言語論に基づいた科学哲学の構築」と題した研究である。また、科学的実在論論争に関して、構成主義的経験論とは異なる立場の非実在論を提案し、根拠づけることを、目標の一つとしていた。 特に平成24年度においては、科学哲学の存在論的基盤となりうる四次元メレオロジーと多元的言語論に関する研究、存在論と認識論に関する研究、科学者たちの集団的活動のダイナミズムを記述するときに用いることができる規範体系に関する研究、多元的言語論に関する科学哲学の枠組みを提案しこれを数学的活動の記述に提要する研究を行った。平成24年度における研究活動は分散しているように捉えられるかもしれないが、それらは多元的言語論に基づいた科学哲学の枠組みを構築するためには、どれも必要なものである。 平成24年度における活動をまとめると、学会等の発表6件(いずれも単独での発表で、うち、招待発表1件、国際会議などでの英語発表2件)、学術雑誌などでの論文4件(いずれも単著で、うち、査読付き論文3件)、著書2冊(単著1冊、分担執筆1冊)となる。 以上を総合すると、平成24年度における私の研究活動は、十分な評価に値するものであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、平成24年度までの研究課題に加えて、「身体化された認知」や「拡張された心」という新しい形態での認知科学に関する哲学の問題についても研究していく予定である。さらに、科学哲学の形而上学的基盤と認識論的基盤についても考察していく予定である。 平成25年度は、認知科学の哲学に焦点をあてて、その存在論的基盤を四次元主義の立場から補足していく予定である。特に、Clark and Chalmers (1998) やClark (2008) が提案している〈拡張された心のテーゼ(Extended Mind Thesis)〉の存在論的基盤を中山(2009)で提案した四次元メレオロジーの枠組みを用いて基礎づけることを試みる。これと並行して、本研究の中心となる〈多元的言語論に基づく科学哲学〉のアプローチを、クーンのパラダイム論の批判的検討や化学研究の事例などを通しておし進めていく予定である。 参考文献 Clark, A. (2008) Supersizing the Mind: Embodiment, Action, and Cognitive Extension, Oxford: Oxford University Press. Clark, A. and Chalmers, D. J. (1998) "The Extended Mind," Analysis 1998. 58, no.1, 7-19. 中山康雄(2009)『現代唯名論の構築 ― 歴史の哲学への応用』春秋社.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(12 results)