2013 Fiscal Year Research-status Report
幕末維新期の長州真宗僧に関する史料と口承による総合的研究
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24520067
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
安溪 遊地 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (50149027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井竿 富雄 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (10284465)
鈴木 隆泰 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (20282709)
岩田 真美 龍谷大学, 文学部, 講師 (90610642)
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Keywords | 幕末維新 / 仏教僧 / 浄土真宗 / 島地黙雷 / 宇都宮黙霖 / 石泉文庫 / 長州 / 山口県 |
Research Abstract |
2012年度に引き続き、フィールドワークを実施した。地域住民との人間的な信頼関係の維持につとめ、より深い研究を進めた。具体的には、2013年9月、山口県出身の真宗僧、島地黙雷ゆかりの願教寺を盛岡市に訪ね、ほぼ40年にわたって非公開となってきた黙雷の手稿の閲覧とスキャンを許され、約40冊のうち15冊をスキャンすることができた。2013年3月末に広島県呉市広長浜の専徳寺所蔵の石泉文庫を訪ね、僧月性とならんで吉田松陰の政治思想に深い影響を与えた宇都宮黙霖とその叔父僧叡(号は石泉)の手稿約4万ページのスキャンと研究者への公開を許された。実際のスキャンは、山口県立大学国際文化学部の学生に呉市広の出身者がいたころから、この学生に主な作業をおこなわせ、2回の作業でほぼ4分の3程度のスキャンが終了したところである。これまで存在が学界に知られていなかった、山陽小野田市の浄慶寺所蔵の島地黙雷関係史料群のスキャンデータと合わせて、これまで学界ではアクセスが困難であった史料のデジタル化・公開へむけて大きな一歩を刻むことができた。 口承の収集においても、上記の寺院関係者からの聞き取りをおこない、研究協力者である児玉識氏(水産大学校名誉教授)および大澤広嗣氏(文化庁)と研究連絡を随意おこないつつ、どのようにして、上記の膨大な手稿や遺墨が保存されてきたのか、その経緯のとりまとめを進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来学界で、その存在が知られていても全貌をつかむことが困難であった、盛岡市願教寺の島地黙雷の日記類、呉市専徳寺の石泉文庫のデジタル化について次年度には完了できる見通しとなったことと、その存在がまったく知られていなかった山陽小野田市浄慶寺の島地黙雷関連史料、とくに日本で初めての女子高等教育機関となった千代田女学院関連の資料についてもデジタル化が進められたため、本研究の中核部分である、史料部分の記録化が当初の計画以上に進められる見通しとなったことから。
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Strategy for Future Research Activity |
3年計画の最終年度を迎えるにあたり、デジタル化した資料をきちんとした形で当該の寺院が活用できる形にしていくことが第一の課題である。さらに、公開可能な部分については、DVDなどの形で広く学界に利用される形のものとしていく。石泉文庫のデジタル化については、2024年の宇都宮黙霖生誕200年祭、2025年の石泉僧叡師200回忌という大きな節目にむけて、研究者をそだてる機縁となることをめざす。研究期間終了後も、視野を山口県から東アジアに広げる形で研究プロジェクトを組むことを計画している。
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Research Products
(7 results)