2014 Fiscal Year Annual Research Report
コンディヤックとボネに見る感覚から知性への発展-感覚論哲学比較研究-
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24520085
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯野 和夫 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (30212715)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感覚論 / コンディヤック / ボネ / 知性 / 記号 / デリダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コンディヤックとボネという18世紀の二人の代表的感覚論者の感覚論の比較を本格的に進めることである。感覚論は、感覚から知性が発展すると見なす点に特質があるが、この発展の過程の分析を中心に据えて比較研究を進める。 研究期間の内、平成24、25年度は、比較作業の前提として、コンディヤックの感覚論が変遷を遂げた経緯を跡づけた。この成果は、まず日仏哲学会2013年春季研究大会(2013年3月)で口頭で発表し、次いで論文「初期コンディヤックにおける人間精神の高次の機能の素描」(名古屋大学大学院国際言語文化研究科『言語文化論集』第XXXV巻第1号、2013年9月、pp.3-31)として公表した。 コンディヤックは知性の発展には記号の働きが重要な役割を果たすと考えた。この点から、平成25年度からはコンディヤックの記号論の特質についての研究を行った。この成果は、論文「コンディヤックの記号概念」(名古屋大学大学院国際言語文化研究科『言語文化論集』第XXXVI巻第2号、2015年2月、pp.3-22)として公表した。平成26年度には、コンディヤックとボネ双方の思想の比較作業にも入った。感覚からの知性の発生に記号が重要な役割を果たすと考えたコンディヤックに対して、博物学者でもあったボネは生理学的視点を取り入れ、脳の神経繊維が網状組織を形成して知性の基盤をなすと想定した。このように両者の探求の特徴を明らかにしつつ比較研究を進めた。感覚、感情、知性とそれらの関係が、両者によってどのように分析されたかにも注目した。ただ、両者の思想の分析・検討は進んだものの、双方の思想の比較を完了するには至らなかった。 平成24、25年度に、主にパリとジュネーヴで二人の手稿の閲覧、刊本の調査などを行い十分な成果を上げた。平成26年度は研究旅行は行わず、研究費は研究の発展に資する文献の収集に振り向けた。
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Research Products
(1 results)