2013 Fiscal Year Research-status Report
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24520096
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
末木 文美士 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (90114511)
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Keywords | 浄土思想 / 京都学派 / 世界哲学会議 / 中日仏学会議 / ベルナール・フォール / 近代仏教 / 真福寺 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中世日本仏教の最新の研究を推し進めるとともに、それを現代哲学にどのように応用できるかを検討することを目的としている。平成25年度には、主として以下のような研究活動を行った。 (1)6月20日に中国人民大学(北京)で行われた第5回中日仏学会議に日本側団長として参加し、「近代仏教ーー普遍性と地域性」と題して発表し、研究交流を行なった。また、8月4~10日、ギリシアのアテネで開催された世界哲学会議(World Congress of Philosophy)に参加して、The Other in Zen: From an Interpretation of the Kyoto School of Philosophy(禅における他者ーー京都学派の哲学的解釈から)と題して発表するとともに、仏教哲学部門の責任者の一人として、司会を担当し、海外の研究者と広く意見交換を行った。 (2)Bernard Faureの英文著作 Uncovering Buddhism(仏教の仮面を剥ぐ)は、現代の観点から仏教を検討し直した重要な著作である。そこで、若手研究者3名の協力を得て、本書の和訳試行版を作成し、それを印刷して関係者に配布し、意見を求めた。 (3)2013年7月に『浄土思想論』を出版して、仏教思想の現代的意味を問う一端としたが、さらにそれを劉麗嬌氏(北京大学大学院)に依頼して中国語訳を作成し、中国語圏の研究者の意見を求めることにした。本年度は、本書の前半部分の翻訳が終わった。 (4)前年度から引きづついて、大須観音真福寺(名古屋市)の調査を進め、神奈川県立金沢文庫(横浜市)他の所蔵資料とともに、『中世禅籍叢刊』編集作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の最大の計画は、中日仏学会議、ならびに世界哲学会議という二つの国際会議に参加して発表・討議するということであったが、いずれも実現して大きな成果を上げることができた。 もう一つの柱として、海外研究者の招聘ということを挙げていたが、予定していた研究者は、別のプロジェクトで来日したため、今回、本研究としては招聘を断念した。その代わりに、英文著作の和訳と日本語拙著の中国語訳を行うことで海外との研究交流を進めることにして、順調に成果を上げることができた。 また、真福寺などの調査も順調に進められている。 以上のように、当初の計画と一部変更はあったが、全体としては順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は最終年度になるので、成果をまとめることを主とする。いちばん中心となるのは、拙著『浄土思想論』の中国語訳の完成であり、まず、後半部分の中国語訳を完成させ、全体を点検・確認したうえで、試行版として印刷出版し、関係者に配布して、意見を求める。また、真福寺などの調査を継続し、最終的にその成果を出版するようにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
翻訳謝金が予定より少なく済んだために、残金が生じた。 平成26年度の翻訳謝金、ならびに出版経費に組み入れて使用する予定である。
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Research Products
(5 results)