2013 Fiscal Year Research-status Report
プロティノス美学におけるアイステーシスの機能―プラトン思想の受容と変容を中心に―
Project/Area Number |
24520115
|
Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
関村 誠 広島市立大学, 国際学部, 教授 (20269583)
|
Keywords | 感性論 / プラトン / プロティノス |
Research Abstract |
プロティノスの美学における感覚機能の位置づけについて、とりわけ「美」の概念がプラトン思想からいかに引き継がれて展開しているかという問題をめぐって、前年度に引き続き考察を深め、平成25年度においては、それを公表できるようにまとめて、二つの学会で研究発表した。プロティノスの美の理論については、ブリュッセル自由大学における国際コロキウム「詩作・神話・信仰」において、「プロティノスの美の理論における創造行為と浄化」というテーマで、フランス語で発表した。これは、平成24年度において第34回フランス語哲学連合大会発表でのプラトン思想における創造行為や浄化をめぐる問題を、プロティノス思想においてさらに発展させられたものと独自展開されているものとを考察したものである。また、プラトンの美の思想に関しては、アテネ大学で開催された第23回世界哲学会において、「プラトンにおける美の到来と現れ」と題して、フランス語で発表した。この発表では、『ヒッピアス(大)』から『パイドン』へと受け継がれつつも発展してイデア論と結合した美の思想について考察した。 また、プロティノスの第1論文「美について」(I-6)、第31論文「直知される美について」(V-8)、第19論文「徳について」(I-2)のテキスト分析を前年度に引き続いて遂行し、加えて、第53論文「生命あるものとは何か、人間とは何か」(I-1)のテキスト分析とあわせて、さらにプラトン思想からの展開も見据えつつ、プロティノスにおける感覚(アイステーシス)の位置づけについて、その形而上学的な思索の中での積極的な役割について考察を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3月の海外出張が、他の経費によってなされたため、科研費予算執行が予定よりも少なかった。しかし、フランスの研究者と研究内容について意見交換をすることができた。また、海外でのコロキウムおよび国際学会において、研究発表を二度行ない、研究内容について海外の研究者と議論をすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度と25年度に扱った内容についてさらに考察を深めて、プロティノスにおける感覚の位置づけについて、論点を整理して、国内学会(新プラトン主義協会大会)および海外の学会(第35回フランス語哲学連合大会)で発表し、論文公表するためにまとめていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度と平成25年度に予定していた海外出張が、他の別経費による出張と重なって、科研費による予算執行ができなかった。しかし別経費による出張の際に、プラトンとプロティノスの研究について発表を行うとともに外部者からに批判を受けることができた。 これまでの研究成果に対しての批判を受けるために、国内では新プラトン主義協会の大会への参加と研究発表のための出張、海外では8月のモロッコ、ラバトで開催される第35回フランス語哲学会連合大会への参加と研究発表のための出張、また3月にはフランスのブルゴーニュ大学の研究者との議論、エクス・マルセイユ大学古代思想研究センターへの出張を行なう。
|
Research Products
(2 results)