2014 Fiscal Year Annual Research Report
プロティノス美学におけるアイステーシスの機能―プラトン思想の受容と変容を中心に―
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24520115
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
関村 誠 広島市立大学, 国際学部, 教授 (20269583)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感性論 / プラトン / プロティノス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの研究を進めてプロティノスの原典解釈を進めるとともに、研究をまとめて他の研究者からの意見を受けるべく、その成果を公表した。 プロティノスの哲学構造に組み込まれている感覚の働きについて論じ、感覚が知性的な働きと通じていく可能性について考察し、その成果を、第35回フランス語哲学国際連合大会(Congres de l'ASPLF, ラバト、モロッコ)において、Possibilite et impossibilite de la faculte sensitive chez Plotinと題して発表した。とりわけ、感覚の働きが二種類に分けて使用されていると解釈できるテキストを分析して、知性的な働きとの接点をもちうることを示した。 プロティノス思想における感覚と浄化の関係について、『エンネアデス』の第一論文「美について」の原典テキストの分析検討を通じて、感覚と浄化の働きの関係について考察し、その成果を「プロティノスにおける感覚と浄化―プラトン思想の受容をめぐって―」と題して、第21回新プラトン主義協会大会(大阪府立大学)において研究発表した。その中で、第一論文「美について」がプラトンの『響宴』や『パイドロス』からの影響を受けているのは当然ではあるが、浄化との関係については、『パイドン』と大きく関連した議論が展開されていることを示した。 また、イタリア、ローマにおいてLa question du sujet entre l'Occident et le Japon (Plotin et Watsuji)と題して報告し、日本思想と比較して、プロティノスが近代西洋とは異なる主体概念と感性の働きを有していることを示した。 これまでの研究により、プロティノスにおける感覚に位置づけの特殊性を、とりわけプラトン思想との関連性においてより明確にすることができた。
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Research Products
(3 results)