2014 Fiscal Year Research-status Report
絵画制作の下地にかかわる専門用語の、西洋における混乱した使用状況に関する研究
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24520137
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内藤 定壽 筑波大学, 芸術系, 教授 (80261791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仏山 輝美 筑波大学, 芸術系, 教授 (70315274)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 絵画技法専門用語 / オーストリア / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の絵画技法に関する専門用語には、あるひとつの内容に関して複数の用語が存在すると同時に、それらの用語それぞれについてもさまざまな解釈が存在している。このような混乱した状況を踏まえ、1.歴史的な絵画技法の意味を正しく理解するために、専門用語の本来の意味を明らかにすること、2.国内外での混乱した実態を真摯に見つめ、混乱した状況と変化した用語の意味を正確に把握すること、このふたつが研究の全体構想である。 研究構想全体の中で、本研究は西洋における絵画の下地にかかわる専門用語を研究対象とする。 平成26年度においては、オーストリア共和国における文献調査及び聞き取りによる実地調査が最大の成果である。オーストリア共和国においては、国立ウイーン美術アカデミーのWolfgang Marx准教授、Michael Hedwig准教授、沼崎叙彦講師に対し、聞き取り調査を行うことができた。ウイーン美術アカデミーはウイーン幻想派の画家が教授を務めていた美術大学でもあり、ここで専門用語を調査できたことは、ドイツ語圏における専門用語の使用状況を知る上で極めて大きな成果である。また、数多くの技法書を入手し、大量の写真を撮影し、さらに大型画材店を訪問し、専門用語が示す日本では入手が難しい材料についても入手することができたことは、専門用語が示す意味、内容を明らかにする上で極めて大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はドイツ語圏の美術大学への取材、調査について、ウイーン美術アカデミーにおいて、2日間にわたりWolfgang Marx准教授、Michael Hedwig准教授、沼崎叙彦講師の3人に対し、聞き取り調査を行うことができた。また、ドイツ語圏の絵画技法書と、絵画技法書に記載されている画材について入手する計画についても、アカデミーの教授に紹介された大規模な画材店においてそれらを入手し、研究の基礎資料を充実することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
この度、Accademia di Belle Arti di Firenze(フィレンツェ美術大学)の教授であり、イタリア現代具象絵画の最高権威の一人であるAdriano Bimbi教授との研究交流が可能となった。この研究交流は、本研究の精度を増すうえで欠かせないと考えられるため、出張計画をドイツ(ケルン造形メディアアカデミー)からイタリア(フィレンツェ美術大学)に変更する。ドイツでの調査については、フランス、オランダ、イギリスでの調査を含め、本研究終了後もさらに発展させてゆく予定である。 本研究については、筑波大学芸術研究報に論文を投稿し、大学を中心に広く研究成果を公表する。年度末には、本研究にかかわった研究分担者、研究協力者との連携のもと、研究報告書を作成し、大学教授等の専門的研究者にダイレクトに配布する。同時に、筑波大学芸術洋画のWebを通して、研究成果を公表する。
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Causes of Carryover |
研究遂行上、ドイツからイタリアへ出張先を変更することになり、出張時期も平成26年度内では調整できなかったため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
イタリアへの出張旅費及び資料、データの整理に充てる予定である。
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