2013 Fiscal Year Research-status Report
ゴードン・マッタ=クラークの作品と1970年代の自然観
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24520149
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平野 千枝子 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20402018)
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Keywords | アメリカ / 環境 / 1970年代 |
Research Abstract |
本研究は、ゴードン・マッタ=クラーク作品に見られる自然観を同時代の美術と思潮に照らして明らかにし、現代の視点から検討を加えることを目的とする。本年度の研究計画は、マッタ=クラーク蔵書の調査、およびアース・アートとの関係の分析であった。しかし昨年度に行った所蔵者との打ち合わせの結果、素描作品の調査も本年度に行うことになった。修正した計画のとおり、素描作品の調査を行うとともに、カナダ建築センター寄託の蔵書の調査を行った。 蔵書に1970年代の思潮に関わる著作が多いことは事前の調査で分かっていたが、実見により、マッタ=クラークの錬金術への強い関心が理解され、また、これらの著作への関心のありようがインスクリプションから明らかになった。この調査ののち、特に重要と思われる蔵書の内容を分析した。従来、マッタ=クラークへの錬金術の影響に関する研究は図像の類似点を実証するかたちで行われていたが、むしろ20世紀の錬金術リバイバル(ユング、エリアーデ)を考慮に入れるべきであるとの視点を得た。 また、アース・アートとの関係を探るため文献を収集し、代表的な論集やロバート・スミッソンに関する個別の研究を概観した。今後も、他の芸術家たちがアース・アートにとりくんだ際の関心のあり方を探り、マッタ=クラークの自然観との共通点や差異を考察していく。 マッタ=クラークの活動をパフォーマンスやサイト・スペシフィックな作品と捉えるならば、そのほとんどは現存しない。遺族への問い合わせの経緯から、残された作品や記録について情報提供を受けることになり、本年度末に再度打ち合わせをもつことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた蔵書調査を行うことによって、研究に進展があった。また、蔵書に関する文献やアース・アートに関連する資料を広く収集できた。具体的な作品の研究に関して、遺族、ギャラリー、美術館等各方面の協力が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに収集した情報を分析し、論文の執筆等によって考察、公開していく。研究成果の公開方法として最終年度における作品展示の可能性を検討しているが、研究成果が得られるであろう時期と展覧会実現のために必要な準備期間とに齟齬があるため、現状はスケジュール面に困難がある。研究の着実な進展を前提に、公開方法についてもひき続き検討していく。
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Research Products
(1 results)