2014 Fiscal Year Research-status Report
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24520159
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
河添 達也 島根大学, 教育学部, 教授 (20273914)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 作曲 / 独創的音楽語法 / 現代日本人作曲家 / 特殊奏法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象である2名の現存日本人作曲家について,本人への聞き取り調査や世界初演作品のリハーサルおよび本公演に参画し,作曲者本人の視点に立って,その独創的音楽語法の資料収集と分析を行った。更に,これまでの研究成果をもとに,その独創的音楽語法を援用した研究者本人の新作発表を国内外で行い,広く研究成果を公表した。 1人目の研究対象者である作曲家・湯浅譲二氏については,未出版の氏の電子音楽作品である「ホワイトノイズのためのイコン」の音響設計図について,氏本人から聞き取り調査を行うとともに,研究者の主宰する「秋吉台の夏2014・現代音楽セミナー」において,当音響設計図をギャラリーに掲示して,その成果を一般公開した。また,2015年3月には,「第7回低音デュオ演奏会」(東京)において湯浅氏と研究者が新曲を発表し,湯浅作品への情報収集を行うとともにそのリハーサルにも参画し,より精緻な作品分析を行う機会を得た。同時に研究者の新作について湯浅氏による評価を直接聴取することができた。これらに係る旅費や専門的技術の提供による謝金等を計上した。 2人目の研究対象者である細川俊夫氏については,2014年10月にドイツ・ケルン市で初演された氏の「Fluss(弦楽四重奏とオーケストラのための)」のリハーサルおよび本公演に立ち会い,湯浅氏同様,作曲者本人からの情報提供による音楽語法分析を行うことができた。この渡欧の機会に,「現代日本人作曲家の独創的音楽語法について」と題した口頭発表を日本学術振興会ストラスブール研究所(フランス・ストラスブール市)で行い,広く研究成果の公表に努めた。同時に,湯浅・細川両氏の作品と研究者本人の新曲を含む発表会をストラスブール市とケルン市で開催し,音楽作品そのものによる研究成果の公表にも努めた。これらに係る旅費や謝金を計上している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主に以下のような理由にまとめられる。 1.日本人作曲家の独創性について,海外(フランス・ドイツ)で口頭発表および作品・演奏発表を行うことができ,日本人の独創性について,相対的な評価機会を得たこと。 2.研究対象者の未公表資料について,本人の解説を得て一般公開する機会を創出できたこと。 3.2名の研究対象者の世界初演作品のリハーサルおよび本公演に参画することができ,第1次資料としての貴重な情報を得ることができたこと。 4.ここまでの研究成果を踏まえた研究者自身の新作発表を,欧州と東京において2作品公表することができたこと。 5.2名の研究対象作曲家の音楽語法に見られる,独自の時空概念に、日本人作曲家の独創性を見出すことができるのではないかという仮説を唱えることができたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年3月に実施した,これまでの研究成果を援用した研究者の新作に関する評価を収集するとともに,研究対象者への聞き取り調査を再度行って,その独創的音楽語法に関する研究成果を学術論文としてまとめる。本論文は,2015年12月発行予定の島根大学教育学部研究紀要において発表予定。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画最終年度(平成26年度)における研究成果の公表を平成27年3月20日行ったが,その評価を取り入れたうえで,研究対象者に最終確認を行って最終の研究成果を公表する必要性が生じたことから,補助事業期間の延長を申請し,承認されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでに行った研究成果の発表に関する資料取集や,研究対象者への研究内容に関する確認調査のための旅費および謝金として使用を計画している。
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