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2013 Fiscal Year Research-status Report

実証分析による20世紀の交響楽団におけるレパートリー形成とその要因の国際比較研究

Research Project

Project/Area Number 24520174
Research InstitutionToho College of Music

Principal Investigator

井上 登喜子  東邦音楽大学, 音楽学部, 准教授 (90361815)

Keywords音楽受容 / レパートリー形成 / オーケストラ / 国際比較 / 日本 / ドイツ / 米国 / 実証研究
Research Abstract

平成25年度は、前年度(平成24年度)に着手した第一のプロジェクトである、二十世紀における日本の交響楽団のレパートリー形成の要因分析をさらに進行させた。本分析は、日本の職業オーケストラの定期演奏会で演奏されたレパートリーに着目し、「くり返し演奏される作品への依存」と「新規作品の導入」を被説明変数とし、「演奏能力」「運営形態」「景気変動」「文化政策」を説明変数として、仮説検定を行ったものである(対象団体数:8団体。考察対象期間:1927年から2000年まで。サンプル数:定期演奏会数5,585回、レパートリー数(延べ)17,319曲)。前年度の国際音楽学会(International Musicological Society)第19回国際会議(平成24年7月)での研究成果報告と質疑応答のコメント対応を経て、当該年度(平成25年度)は分析手法の更なる精緻化に取り組み、日本音楽学会東日本支部第20回定例研究会にて研究報告を行った。
また、当該年度は、本研究の第二のプロジェクトである、レパートリー形成の要因分析の国際比較の準備作業として、海外の職業オーケストラの演奏会記録に関する調査を行った。ヨーロッパ、米国、アジア・太平洋地域の複数の国と地域のオーケストラ153団体を対象に、演奏会記録の体系的な編纂とその情報公開の状況について調査した結果、今年度は、長期間にわたる広範な音楽活動記録を公開するベルリン・フィルハーモニー管弦楽団Berliner Philharmonikerのデータベース構築を完了し、さらに米国の数団体に対象を広げ、データ収集とデータベース作成に着手した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当該年度は、まず、本研究の第一のプロジェクト、二十世紀における日本の交響楽団のレパートリー形成の要因分析について、学会発表での成果報告とコメントに基づき、説明変数の妥当性や新規追加を検討することにより精緻化を図ることができた。現在、本分析に基づく論文は、専門誌への投稿準備中であり、おおむね順調に進展していると言える。
また、第二のプロジェクトである、レパートリー形成の要因分析の国際比較については、長期間にわたる演奏会記録が体系的に整理・編纂され、且つ電子データとして公開されている団体の調査を行い、データ取得とデータベース構築を進めてきた。この調査から、体系的な演奏会記録のデータを情報公開している団体は、現状ではごく一部に留まり、当初の計画よりも大幅に考察対象を絞り込まざるを得ないことが判明したが、結果的には、こうした条件を満たす団体は国内にもグローバルにも認知され、一定の高評価を得ているオーケストラが該当し、レパートリー形成の要因分析の国際比較研究の第一段階としては、適正なサンプルが揃うことになったと考える。

Strategy for Future Research Activity

前述のように、二十世紀日本の職業交響楽団のレパートリー形成に関する要因分析の結果については、学会発表でのコメント対応を中心に追加修正を加え、国際専門誌への投稿を準備中である。
また、国際比較に関しては、既にデータベース作成を完了したベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のレパートリーについては基礎的分析に着手しており、今後は、さらに指揮者別傾向及び演奏機会別傾向に関する分析を進めるとともに、時代推移、社会変化、景気変動、運営形態等の制度的要因を説明変数とした仮説検定を行う計画である。また、平成25年度よりデータ取得とデータベース作成を進めている米国の数団体についても、データベース構築が整い次第、順次、上記の手法で定量分析を進める計画である。各団体の基礎的分析を終えたところで、サンプル全体を統合し、団体間のレパートリー形成ならびにその要因の比較分析を行う計画である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成25年度は、国内地方都市で開催される学会の定例研究会で発表予定であったが、当日の悪天候の影響で開催時期は延期され、開催場所が変更され東京となったため、国内旅費の未使用額が生じた。また、投稿準備中の英語論文に関しては、今年度は追加分析等に取り組んだため、ネイティブチェック料金の未使用額が生じた。
次年度(平成26年度)は、前年度から引き続き、海外の職業オーケストラの演奏会データの収集と整理を集中的に進めるため、大学院生のアルバイトを雇用して、データの収集ならびにデータベース作成を行う。このための作業時間を320 時間とし、35万円を人件費とする(320時間×1100円)。また、国際専門誌への投稿準備中の論文について、英文ネイティブチェック(8万円)と投稿費(2万円)を必要とする。国際比較の分析を進めるにあたり、国内及び海外の学会や研究会での報告を行うため、国内出張旅費11万円(大阪2泊3日[5万円×1名:研究代表者]、福岡1泊2日[6万円×1名:研究代表者])、海外出張旅費25万円(25万円×1名:研究代表者)を要する。
以上のように、平成26年度の計画遂行のため、平成25年度未使用分も含め、上記の研究費を使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 20世紀日本の交響楽団におけるレパートリー形成の要因分析

    • Author(s)
      井上登喜子
    • Organizer
      日本音楽学会東日本支部第20回定例研究会
    • Place of Presentation
      国立音楽大学

URL: 

Published: 2015-05-28  

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