2015 Fiscal Year Annual Research Report
ジョン・ケージにおけるジャポニズムとオリエンタリズムの再検討
Project/Area Number |
24520180
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Research Institution | Musashino Art University |
Principal Investigator |
白石 美雪 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (60298023)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ジョン・ケージ / ジャポニスム / オリエンタリズム / 現代音楽 / アメリカ / 前衛芸術 / 新聞批評 / 芸術史 |
Outline of Annual Research Achievements |
第4年度は「批評分析のまとめと成果発表」として、前年に引き続き、研究対象のジョン・ケージに関する批評および記事、ケージ史料に関する所在と実体を把握する作業を進めた。同時に、オリエンタリズムとジャポニズムをめぐって、ケージ自身の文章と彼を対象とする日本の批評と記事から、日本・東洋に関する記述の言説分析を行った。さらに、このテーマに関わる最新のケージ研究等を参照しながら、論文においてケージのアジア理解を一つのモデルとして詳述しつつ、第二次世界大戦後における異文化の相互理解まで広げて考察し、その困難さを指摘した。 4年間の研究により、発行部数の多い日本の三大新聞『朝日新聞』『読売新聞』『毎日新聞』の1960年1月1日から1992年12月31日まで、ケージの名に言及のあった記事の調査を行った。新聞のデータベース化が進んだ現代では簡単な調査だと思われるかもしれないが、全文記事検索機能があるはずのこれら三紙でも、じつは洩れ落ちる記事が数多い。今回の研究では協力者で手分けして、すべての紙面に眼を通した。第4年度までに1986年12月31日までの目録を作成し、国立音楽大学大学院研究年報『音楽研究』に3回に分けて掲載した。さらに1987年1月1日以降のデータもすでに調査済みだが、今年度以降、引き続き目録として発表予定である。この基本データから日本の新聞読者へどのようにケージの情報が届けられたのかがわかり、その中でオリエンタリズムに関わる記述は60年代以降、減少していったことがわかった。また、今後のケージ研究においても参照点となる資料を提示できた。
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Research Products
(3 results)