2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520216
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
田中 則雄 島根大学, 法文学部, 教授 (00252891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 毅 尾道市立大学, 芸術文化学部, 教授 (20289268)
菊池 庸介 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30515838)
木越 俊介 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (80360056)
菱岡 憲司 有明工業高等専門学校, 一般教育科, 准教授 (10548720)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 読本 / 日本近世小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を総括する報告書『文政期読本の基礎的研究』を発刊した。本書は〈総説〉〈解題〉〈年表〉より成る。 〈総説〉では、文政期読本に関して概説した上で、その作風の特色、続きもの読本、新興作者、改題と嗣作、実録・人情本との関係等について論じた。文政期において、前の文化期より数量的には減ずるものの読本の制作の流れは受け継がれている。その中で長編化の傾向が顕著になり、また文化期以前の作を改題出版したり、続編を制作するなど、文政期独自の方法が生じていることを明らかにした。人情本との境界を探りながら読本を制作していくのも、文政期特有のあり方である。以上のような、研究開始段階で掲げていた諸問題に関して、実作に即し、データに基づいて検証した。 〈解題〉は、〈年表〉に掲げた書目と合致させつつ、現時点において文政期読本と認定できる作について悉皆的に取り上げることとし(但し『読本事典』(2008年、笠間書院刊)に収録される作は除く)、計82点の作に関して、書誌的事項、読本としての特色意義を記述した。年表を作成したことにより、文政期全体にわたってコンスタントに読本が出版されていること、その中でも文政9年に一つのピークがあることなどが判明した。なお解題では、作品の梗概のみならず、作風、様式などの問題にも言及しており、これを元にして発展的に探究し、論文を執筆公表している。以上、本書により、今後文政期読本に関して研究を行うための基礎が成ったものと総括する。 このほか論文において、文政期読本と実録との関係、文化から文政にわたる曲亭馬琴読本の特質、文政期に刊行が始まり明治にまで及ぶ『俊傑神稲水滸伝』、文政期の代表的作者の一人南里亭其楽の〈仇討もの〉読本の意義などに関して論究した。
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Research Products
(19 results)