2014 Fiscal Year Research-status Report
「ポストヒューマン」をめぐる理論と表象―現代英語圏文学に見る身体加工の表象から
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24520275
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
英 美由紀 お茶の水女子大学, リーダーシップ養成教育研究センター, 講師(研究機関研究員) (40623830)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポスト・フェミニズム / チク・リット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題で考察の対象としているテクストの一部には、1990年代のイギリスに端を発する、チク・リット(chick lit)と呼ばれる小説のジャンルが含まれる。このジャンルは、当時出版された初のアンソロジーに’Postfeminist Fiction’の副題が付されたことにも明らかなように、ポストフェミニズムとの関連において性格づけされる。 そこで今年度は、フェミニズムとフィクションの関連を、第二波フェミニズム以降の視点において体系的に捉え、そこに現在のポストフェミニズム的な状況とchick litという文学ジャンル間の関連を位置づけた。 また、そうしたジャンルの特徴を踏まえたうえで、これに属すると考えられる諸テクストに身体美を追求する傾向があることを確認し、それを身体の消費対象化とそこでの女性のジェンダー位置、これについてのフェミニズムの見解の変化と関連づけた。 さらに、女性登場人物の自由や消費行動を強調しながら、ロマンスや身体美への傾倒を描くchick litは、その保守性、個人主義、物質主義的傾向が否定的に捉えられることも多いのに対し、個々のテクストには、消費や美の追求が必ずしも女性たちを既存のジェンダー・異性愛規範に回収するものでない可能性も見出され、このジャンルの解釈を部分的に修正することもできると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題に含まれる表象テクストの一部が近年のフェミニズムの潮流と重ね合わせて論じられることが多いジャンルであることから、今年度は20世紀後半以降のフェミニズムの流れに目を向け、またそこでの女性の身体をめぐる行為の意味づけの変化に焦点を当てることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度にあたる本年は、これまでに終えている研究を再度見直し、必要な部分には修正を施した後、体系的な論考として提出することを予定している。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた海外文献の取り寄せのための時間的な調整の都合がつかなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
文献購入、及び学会出張を含む旅費。
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