2014 Fiscal Year Annual Research Report
『ニュー・リパブリック』誌を中心とした1920-30年代アメリカの知的趨勢
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24520298
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉田 朋正 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (40305404)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / ロスト・ジェネレーション / モダニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者の吉田が翻訳に携わったMalcolm Cowleyの1920年代録, Exile's Return(カウリー『ロスト・ジェネレーション』みすず書房刊、以下『ロスト』と略)を起点としながら、いわゆる「失われた世代」の作家たち、なかでもリベラル系の雑誌 The New Republic の周辺で活躍していた三人の批評家(Kenneth Burke, Edmund Wilson, Malcolm Cowley)の動向を実証的にたどることで、文化的にも政治経済的にも激動期であった1920-30年代の知的動向の一端を明らかにしようとするものである。 主成果のシンポジウム発表では、The New Republicを共にキャリアの始点としながら、やがて30年代後半以降に方向性を違えて行くウィルソンとカウリーの二人に光を当て、それぞれの事実上の処女作である『アクセルの城』(Axel's Castle)と『ロスト』の間にある関係を明らかにした。二冊はいずれも同時代のアメリカを代表する批評書だが、同じ部局で働らく二人の編集者による両著は、実は対を成す双子のような本として読むことができる(例えばウィルソンの本は後者のカウリーによって推敲・編集され、後者の本は『アクセルの城』への批判的注釈という性質を持つ)。同シンポではまた、カウリーが描いた"Valutaschweine"と呼ばれる為替変動に寄生した旅行者の動向に着目し、ウィルソンの審美的モダニズム観では捉えきれなかった芸術と政治・経済的状況の関係を考察した。 副次的成果としては、カウリーが『ロスト』続編として遺した30年代録The Dream of the Golden Mountainsの翻訳がある。目下雑誌翻訳として序章から3章を掲載したのみだが、本文翻訳は完成済みであり、近々に注釈・索引を仕上げ刊行の予定である。
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Research Products
(3 results)