2014 Fiscal Year Annual Research Report
第一次世界大戦後の散文作品における叙情詩的技法の影響-セリーヌを中心に
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24520357
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
杉浦 順子 広島修道大学, 商学部, 准教授 (30594361)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ルイ=フェルディナン・セリーヌ / 第一次世界大戦 / ジャンル / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、日本フランス語フランス文学会の秋季全国大会(平成25年10月26日、於:別府大学)にて、本課題の研究経過をまとめた、「セリーヌ作品におけるジャンルの問題―物語から抒情詩的散文へ―」と題する単独発表を行ったが、本課題の最終年度である平成26年は、この発表内容をもとに、細部の理論的な部分を補足しつつ、論文としてまとめることからはじめた。結果として、当学会の論文審査を通過し、本年度の8月に出版された『日本フランス語フランス文学研究105号』に、論文が掲載された。 夏期休暇を利用し、資料収集、閲覧目的でフランスに滞在し、平成25年度に続き、パリ市にあるフランス国立図書館およびパリ市立図書館にて、とくに戦争証言文学、記憶に関する資料、およびセリーヌの後期作品が第二次世界大戦も大きく扱っていることを考慮して、第二次世界大戦に関する文献にも目を通した。また、第一次世界大戦の影響を文学だけでなく、同時期のモダニスム絵画まで視野を広げて検証した。 この最後の第一次世界大戦期の絵画に見られる具象から抽象への移行過程には、同時期の文学とパラレルな要素も多く、本課題に続く研究では、こうした文学以外の絵画作品への戦争の影響を視野に入れた研究課題へ発展させる道筋をつけることができた。 さらに本年度の12月6日には、申請者の所属する広島修道大学のひろみらセンターが主催するオープンアカデミー(市民講座)において、「100年後の今、フランス文学を通して第一次世界大戦を読み返す」と題した講座を行い(於:広島修道大学)、これまでの研究成果に加えて、上記の夏期に収集、閲覧した絵画資料なども用いながら、本研究の成果を市民に還元することができた。アンケートの結果では、好評を得ることができた。
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Research Products
(1 results)