2012 Fiscal Year Research-status Report
中国における伝統芸能テクスト創出の機構解明と文化資源としての活用
Project/Area Number |
24520388
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上田 望 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (90293331)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中国文学 / 伝統芸能 / 浙江省 |
Research Abstract |
本研究では、中国浙江省の農村部において地域固有の伝統芸能の現地調査を実施し、収集した資料を整理・電子化し、芸能データベースを構築しつつ貴重な映像・文字資料を保全することを平成24年度の主たる目標としていた。 当初の計画では、今年度、旧暦の中元節と中秋節の2度、浙江省寧波市を訪れ、寧波市とその直轄にある象山・寧海諸県の農村部で巡回興行している芸能者や劇団を訪ね、彼らの上演活動をビデオカメラで記録におさめる予定であったが、日中間で政治上の問題が起こったために平成24年中は中国での調査を行わないこととし、平成25年2月の旧正月(春節)に代表者が単独で調査を実施した。現地では、寧波市江北紅芸越劇団の越劇上演(2月17日、寧波市瞻岐鎮東一村老年活動室)、台州黄岩小百花越劇団の越劇上演(2月18日、寧波市咸祥鎮南頭村和諧楼)、寧波市甬劇団の甬劇上演(2月19日、寧波市姜山鎮上游村と、2月22日、寧波市瞻岐鎮岐西村の岐西文化宮にて2回)、三門市万紅越劇団の越劇上演(2月22日、象山県丹城鎮姜毛廟)、沈健麗師の寧波走書上演(2月20日、寧波市咸祥鎮咸四村老年活動室)など様々な形態の伝統芸能を観察し、映像を記録した。貴重な各種映像資料を購入することもできた。 また、今年度、寧波地区に伝わる伝統芸能の映像・文献資料の整理を進め、入手済みの映像資料の一部、今年度の現地調査で入手した資料を整理して「中国伝統芸能映像資料データーベース」の基礎データに追加した。 代表者が現地調査、資料整理の過程で得た知見を「文化資源化する伝統芸能と中国-芸能研究の情報収集・整理・発信の手引きとして-」(森雅秀編『文化資源学情報管理術』 CRS TEXTSERIES NO.2 金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センター 2013.3 pp111-121)として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査による資料収集については、平成24年度中に予定していた2回の調査ができなかったが、平成25年2月旧正月の調査において、現地で多くの劇団・芸能者と接触し、上演を撮影できたことで調査の遅れを取り戻すことができた。また、現地に赴くことが難しかった半年の間に、資料の整理と電子化やデータベース構築に力を注ぎ、平成24年度の研究の目的はほぼ達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)平成24年度に予定していた、中国での2回の現地調査が1度しかできなかったこともあり、研究費の残余が出てしまったが、平成25年度の中秋節または春節に寧波に赴き、現地調査を実施する予定である。 2)またこれと平行して、映像資料の処理と文字化、文献資料の整理・電子化を、蘇州大学図書館及び揚州大学の陳安梅講師と協力しながら進めていく。(謝金の使途) 3)映像・文字データの二本立てからなる中国伝統芸能データベースを構築し、その一部を公開する。また、整理ができた伝統芸能の各種電子データについて、自然言語処理の統計プログラムを用いてテクストを解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していた、中国での2回の現地調査が1度しかできなかったこともあり、研究費の残余が出てしまったが、平成25年度の現地調査旅費に充当する予定である。
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