2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520446
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
マーティン アンドリュー 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (20591671)
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Keywords | 音声学 / 発達心理学 / 対乳児発話 |
Research Abstract |
今年度は、 本研究室の母子会話コーパスの統計的分析を中心に行い、 その成果を学会で発表した。 今年度の補助金は、 主に上記の研究を発表する学会への旅費に当てられた。 1.母音の無声化: 日本語では高母音(「い」、「う」)は通常有声だが、無声子音の間に現れると無声化される特徴がある。無声化された母音は識別が難しいことを既に証明されている。そのため、日本語を習得中の乳児に対して、養育者が無声化を減らし、高母音をより明瞭化すると仮定できる。本研究では、実際に母親が乳児に話しかける際、高母音を明瞭化しているという事実を明らかにした。しかし、同じ母親が成人に対して話したいる際、無声化率が高くなる傾向がある。この結果から、話者がその聞き手の特徴と能力を考慮に入れて話していることを証明した。この研究結果を論文にし、ジャーナルに投稿した。 2. 対乳児発話の話速: 先行研究では、対乳児発話が対成人発話より話す速度が遅いという結果が出ている。しかし、今までの研究がその言語特有のプロソディーを考慮に入れていない。そのため、本研究室で開発したコーパスで話速と日本語の特徴の関係について研究した。その結果、母親が乳児に話しかける時、実際に対成人発話と同じスピードで話していることが明らかになった。この研究結果を論文にし、ジャーナルに投稿した。 3. 内容語と機能語: 全世界の言語においては、語彙は意味を持つ内容語(名詞、動詞,形容詞等)と文法的な役割と果たす機能語(助詞等)の2種類に分けられる。普段の日本語の発話の中では機能語より内容語が強調されるが、母親が乳児に話しかける時、内容語と機能語を同じ程度で強調することは本研究で明らかになった。この結果はアメリカ言語学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の目標は音素の学習モデルを作成することだった。しかし、大規模コーパスの解析が予測した以上の時間がかかったため、計算モデルの作成が次年度まで伸ばすことになりました。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年でコーパスから抽出した情報をもとに計算モデルを作成する。 音素と語彙の学習との間の相互作用の計算モデルを構築し、テストするためにコーパスから収集した情報を使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、予測していたほど学会に参加しなかったため、次年度使用額が発生した。 次年度は、補助金は学会への旅費に当てる予定である。
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Research Products
(2 results)