2012 Fiscal Year Research-status Report
方言調査法の方法論的検討-方言調査データの信頼性の測定-
Project/Area Number |
24520492
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
半沢 康 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10254822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 拓 仙台高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20290695)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 宮城県方言 / 福島県方言 / 計量分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は以下の2点である。(1)方言調査におけるさまざまな調査法を用いた場合,それぞれの調査データがどの程度安定するのかという点を定量的に明らかにし,各調査法の信頼性を表す指標(信頼性係数)を求める。(2)各調査法によってこれまでに収集した方言調査データ(言語変化の解明を目的とする社会言語学的多人数調査データ)の再分析を行なう。(1)で得られた信頼性係数を活用し,従来の分析では分離が不可能であった「調査誤差」の影響を取り除いた「真の言語変化による変動」を析出する。 標記目的を達成するため,24年度は以下の研究活動を行なった。 ①面接質問法による調査(第1次調査):面接調査法の信頼性係数を求めるために,同一のインフォーマントに対して,同一の方法による実験的調査を複数回実施し,その結果の安定性を把握する。その第1回目の調査を宮城県伊具地方において実施した。当該地域では50年前に言語地理学的調査が行われており,その実時間追跡調査を兼ねて行なったものである。調査のマネージメントは宮城県在住の研究分担者が担当した。 ②インタビュー法による調査準備およびパイロット調査:インタビュー法調査についても,①と同様に同一インフォーマントへ複数回の調査を実施し,その結果の異同を検討する。インタビュー法調査はインフォーマントの自由談話を得るものなので,面接質問法調査よりも調査時間が長くなり負担も大きい。本年度の調査はパイロット調査と位置づけ,福島県内各地で自由談話収集を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の実施を予定していた①面接調査法による第1次調査,②インタビュー法によるパイロット調査とも,いずれも計画通り実施できている。③自記式調査法による実験的調査についても,すでに調査票の検討も終了し,いつでも実施できる状態となっている。 以上より,研究は順調に進捗していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度以降は以下の調査を実施し,方言調査法の信頼性について検討する。 ①面接質問法による再調査:宮城県伊具地方において,24年度と同一のインフォーマントを対象に再調査を行い,相互の結果を比較する。1年間の調査間隔をあけることで第1次調査に対するインフォーマントの記憶が薄れ,その影響を排除できる。一方1年程度であれば言語変化が格段に進行するとは考えられず,経年変化の可能性も無視できるので2回の調査結果の異なりを「調査法に起因する誤差」とみなすことができる。24,25年度の調査で得られた2回分のデータセットをもとに相互の異同を比較・検討し,面接質問法の信頼性を推定する。また福島県田村地方において新たに多人数面接調査実施に着手し,信頼性検討のためのさらなるデータセットを収集する。 ②インタビュー法による調査:24年度の準備を踏まえ,25,26年度にわたってインタビュー法による実験的調査を実施してその信頼性を検討する。調査のマネージメントは研究代表者が行なう。 ③自記式質問紙法による調査:作成済みの自記式質問紙法を用い,研究代表者,分担者,協力者の勤務校や居住自治体等の協力を得て随時実施する。 なお本研究は2010年度科研費に採択され,南相馬市小高区および伊達郡川俣町山木屋地区において調査を開始していたが,その後発生した東京電力原発事故の影響で調査継続が困難となったため「東日本大震災の影響を受けた研究代表者の重複応募制限の特例」を利用して2012年度科研費に応募,採択されたものである。すでに調査に着手していた小高区,山木屋地区ともに,2012年3月以降警戒・計画的避難区域指定の見直しが進んでいる。今後の状況を踏まえつつ,小高区,山木屋地区での調査再開の可能性も追求していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記②インタビュー法によるパイロット調査について,24年度の当初計画では奥会津地方での調査を予定していたが,現地の事情等により調査実施地域を福島県中通り地方へ変更した。これにより結果として算定していた旅費を節約することができたため,25年度以降,当初の計画に加えて福島県田村地方において新たな実験的調査を実施することとした。すでに現地在住の研究協力者と調査準備を進めている。 上記に加え,25,26年度は宮城県伊具郡および福島県中通り各地において,面接調査,インタビュー調査を実施する。研究代表者,分担者,研究協力者および調査員を委嘱する学生の調査旅費が必要となる。学生調査員については謝金も要する。他に研究代表者,分担者,協力者の学会出張旅費(情報収集および学会発表),研究報告会参加旅費等を支出する予定である。 物品費については,調査で使用する録音メディア(MicroSDカード),乾電池,調査謝礼品などを購入する。
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