2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代における和語名詞の表記の実態とその背景に関する調査研究
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24520511
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笹原 宏之 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80269505)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | やまとことば / 漢字 / 表記の揺れ / 同訓異字(異字同訓) |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の各種のメディアで、和語がいかなる文字によって表記されているのかという実態について、普通名詞を中心に把握し、その表記上に揺れを生じさせる要因を究明した。日本語を表記する上で意識され、根拠とされる種々の条件と、実際の表現、効果の差などに関しても考察を加え、誤解などの起こりにくい表記形についても検討を行った。さらに和語の表記に関する各種資料や意識などと、改定された常用漢字表やマスメディアにおける各種の表記規則、辞書類の掲出表記・記述などとの関わりについても分析を行った。 和語表記の揺れが発生する原因として、語や表記法の性質、漢字・平仮名・カタカナ・ローマ字などの文字種の性格や機能、漢字政策の別、漢字(列)の属性、同訓異字の状況、使用頻度、前後の文字列、文体、引用か否か、メディア・筆記媒体・入力機器の特質、筆記経済、個々人の属する社会的集団、使用場面、筆記習慣、筆記状況、文字・表記や語自体への意識・イメージ・読みやすさ・文字感・表記感・なじみ・好悪・表現意図・表現効果など、言語、文字、心理、生理、物理、通時などレベルを異にする種々の内在的、外在的な因子を多角的に当てはめ、和語表記の揺れは必ずしも体系的なものではなく、個別性に富む現象とみてその背景とともに明らかにした。「常用漢字表」の改定など漢字を巡る社会的環境が変動しつつある中で、同訓異字などの政策と現実の趨勢が表現や読解の正確さ、効率性などを求めて循環する現象も見出した。 また周辺に位置する用言類、漢語や外来語等も比較対象に据え、広く日本語表記全体から見た和語名詞の表記の位置付けを確かめた。それらを踏まえ、問題の生じやすい表記とその性質、情報時代において場面ごとに適した表記と条件、今後の表記のあり方についての総括を行い、それらが生み出す影響について具体的に捕捉した。 研究成果として著書、論文、口頭発表等を通じて公表した。
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[Presentation] 人名と漢字2014
Author(s)
笹原宏之
Organizer
木簡と人名の漢字について
Place of Presentation
諸橋轍次記念館
Year and Date
2014-09-13
Invited
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